「燭台を手に、あたしは芸人達が休んでいる所へ歩いて行った。と、その時だよ。まだあたしの部屋を出て、いくらもしないうちだった。カタン、という音がしたんだ。ささやき声も聞こえた。あたしは、不審に思って先を進んだんだ。居間にさしかかったところで、口を塞がれ、喉に刃物が当てられた。『動くな』そう言われたよ。大道芸人のうち、悪意を抱いた何人かが、お屋敷にある金目の物を、盗んでいたんだ。
あたしは、居間に連れて行かれた。口に、猿ぐつわが噛まされたよ。居間の暖炉にはおき火が残っていて、その前に横たえられている、絶命したお手伝いさんの姿が見えたよ。
あたしは気を失いそうだった。そのうち、あらかた物色を済ませた悪人達は、あたしの口を塞いでしまおう、そう相談し始めたんだ。あたしが生きてちゃ、すぐにでも追っ手が出るからね。あたしは邪魔だったんだ。
三日月のような短刀が、いまにも振りおろされそうになった。そのとたん、あたしに刃物を突きつけていたその腕が、刃物を持ったまま、ぶつん、ともげ飛んだんだ。
絶叫があがったよ。でも、家中の人間が駆けつけた頃には、もうけりがついていた。
はっきり覚えているよ。吟遊詩人が、その容姿そのままに、毛むくじゃらの狼男に変わり果てていたのを。でもあたしは、不思議と恐怖心はおぼえなかった。助けてくれたんだ、その思いが強かった。詩人は、あっという間に悪人達をねじ伏せると、開け放たれた窓から去って行った。あたしにたまらない笑顔を残して――」
オモラは、ふぅと息をついた。懐かしい思い出が、胸を熱くしていた。
「それから――」と、食べ物を口いっぱいに頬ばったグレイが、きらりと輝く目をこちらに向けた。
「聞きたいかい」
グレイは、こくんとうなずいた。
「いいだろう」と、オモラはそう言うと、話を続けた。
「家中の人間は、目を見開いていたよ。居間に、何人もの人間が、それぞれどこかを痛いと押さえながら、もがいて倒れ伏していたんだからね。猿ぐつわを解いてもらって、あたしは見たことを話したよ、けど、もちろん狼男のことは、話さなかった。
でも、あたしが言おうと言うまいと、今から思えば同じ結果になったんだ。
悪人達は、みんなひとつの一座の団員だった。その団長が、息巻いて言ったよ。これは狼男の仕業に違いない。金品を奪い、人をこんなふうに傷つけるのは、残忍な狼男しかいないってね。その場にいたうちで、反対していたのはあたしだけさ。誰も信用しちゃくれなかった。
実際に悪事を働いた連中は、みんな無罪になった。裁判が行われたのさ。屋敷に集まった芸人の全員が、調べられたよ。無罪になった連中が、はっきりとこいつだ、と指差したのは、しかし詩人じゃなかった。あたしは胸をなでおろしたよ。けど、間違われた本人は苦しんだんだ。処刑される直前、おれだと名乗り出たよ。
詩人は、あたし達の前で狼男に変身した。真っ昼間さ。人々は恐れおののいた。男達は手に手に得物を持って、狼男を追い詰めていったよ。詩人も、早くおれをやっつけろ、そうみんなを誘うような格好をしていた」
やれほれ。
仕事から帰ってきて、
着替える前からションボリだった。
もう一人の藤子先生が亡くなっちゃった。。
いろんな先生が次々に旅立っちゃうけど、
それはしかたがないんだけど、
さみしいなぁ・・・。
F先生は全集買ったし、特にドラえもんが好きだから、
てんとう虫のコミックスの方は、
全巻買い直して、転勤のお供にしようかなんて、
何かにつけて今でも考えちゃってる。。
まんが道に夢中になった時は、指にぺんだこができるまで頑張るのが
本当の努力だなんて、本気で思ってたよな・・・。
あーあ。
心のよりどころがなくなったような感じがして、つまんね。
これからきっと間違いなく出版されると思うんだけど、
全集買うために今からこつこつ経済して、
ゆくゆくは、書棚にF先生とA先生の全集を並べたい。
うほ。最高だと思う。