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くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(63)

2022-04-12 18:43:17 | 「狼おとこ」

 同級生達はびっくりして、逃げるようにその場を立ち去った。アリエナは、しめたと思った。しかし、すぐにそれは間違いだと考え直した。なにかを貰わなければ、生きていけないんだ。もっと真剣に、もっとうまくやらなくちゃ、誰もわたしにただで物なんかくれないんだ。アリエナは、もっと人通りの多い所へと、移っていった。
 アリエナがさかんに往来を行く人に声をかけていると、やっと一人、立ち止まってくれた人がいた。
「オモラさん――」と、アリエナは、一瞬物乞いということを忘れ去った。自分と同じく、狼男のように後ろ指を指され、煙たがられているオモラが、声をかけてくれたからだった。
「アリエナ、元気でやってたかい」と、オモラは晴れやかに言った。そのすぐ横には、なぜかアリスが尻尾を振って立っていた。
「――はい」と、アリエナは、アリスを気にしながら、返事をした。
「いやね、あんたを見つけたのはこの犬なのさ。ちょっと用事があって来たんだけど、あたしの前を邪魔して離れようとしないんだ。あんまり人をせっつくもんで、やって来たらアリエナ、あんたがいたのさ」
 アリエナは黙ってうなずいた。
「かわいそうに、聞いたよ。ケントが町を出たんだってね。こんなかわいい子をほっといて――いや、あんたには関係なかったね。
 ごめんね、今ちょっと持ち合わせがないんだ。でも、よかったらこれをお食べ」
 オモラは、手に提げている袋を地面に置くと、包みを取り出してアリエナに手渡した。
「お腹はすいてないかい? クッチーだよ、あたしが焼いたんだ。あんまりうまく焼けてないけど、我慢して食べとくれ」
「どうもありがとう」と、アリエナは心から言った。
「なにか力になれることがあったら、遠慮なく訪ねてくるんだよ。あたしゃ、少なくともあんたの味方だからね」
 オモラは、袋を持ち上げると、それじゃあと言って歩き始めた。アリエナは、笑顔で見送っていたが、思い出したように声をかけた。

「あっ、オモラさん!」

 アリエナは急いで駆け寄ると、言った。
「オモラさん、アリスに、クッキーを分けてあげてもいいですか」
「えっ、よくこの犬の名前知ってるわね。誰に教えてもらったの」と、オモラは不思議そうな顔をして、アリエナを見た。
「わたし、この子がまだほんの小さかったときからの、お友達なんです」
 アリエナは、包みからクッキーを取ると、手の平に乗せてアリスに差しだした。
「なんだかわかったような、わからないような話だね――」
 アリスは、なんのためらいもなく、アリエナの手からクッキーを食べた。最後に残った小さな粉つぶまで、きれいに舐め取った。アリエナはくすぐったい、と肩をすぼめながら、オモラと一緒にほくそ笑んでいた。
 オモラが去ると、アリエナの前に、再び現実の厳しい風が吹きつけてきた。日が暮れるまでたたずみ、なにひとつとして収入を得られなかった。オモラから貰ったクッキーだけが、アリエナのポケットの中で、重たく膨らんでいた。

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よもよも

2022-04-12 06:09:50 | Weblog

やれほれ。

疲れて帰ってきて、

日が落ちると昼間の暑さもどこへやら、

ぶるっとくるくらい肌寒かったんで

舌打ちしながら石油ストーヴの電源入れると、

暖かな空気と共に動き出すカメムシ・・・。

どこから湧いてくるんだか、

天井に張りついたやつが面倒で、

もういいやって開き直って掃除機で吸いこめば、

あっという間の臭気で、口の中までザリザリXXX

はぁ。

今週やっとこ3回目のワクチン接種の目途がついて、

解熱剤はかってきたし飲み物だってちゃんとあるし、

って、電子体温計買い忘れた以外は完璧だったんだわ。。

あーあ。休暇取らないで済んでくれないかなぁ・・・。

周りにそんなやつ一人もいないけどXXX

 

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