プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

原発事故による「人格権」の侵害

2013-02-11 11:03:00 | 日記
 福島第1原発事故で、故郷を追われ、放射能汚染による健康被害への不安を強いられ、平穏に暮らす「人格権」を侵害されたとして、福島、宮城、山形、栃木、茨城の住民と、汚染地から県外へ避難している約350名の方々が、国と東電に対して、福島地裁に3月11日提訴すると発表しました。(以下、引用は『朝日新聞』)

 提訴の内容は、「原発政策を進めてきた国と東電に対し、放射線量の低減や、元の暮らしの回復、故郷の再建を求め」、「2011年3月11日から、原状が回復されるまでの慰謝料として、一人当たり月5万円の支払い」を請求するとのことです。また、東京地裁や千葉地裁でも「避難に掛かった費用や、これまで2年分の生活費、避難に伴う慰謝料」等を請求する訴訟も提起される予定だそうです。

 「避難する権利」が原発事故被災者支援法で認められていますので、(本来避難指示を出すべき)福島県内外の自主避難の方々も、法律の網から除外されることはないかと思いますが、請求額から見て取れる原告の方々の(米軍の訴訟額からすれば余りにも)「慎ましい」賠償すら、叶わないかもしれません。ましてや、(非常に残念なことですが)原状回復というのは極めて困難なことで、放射能の低減や帰還、コミュニティーの再建もまた、(放射能汚染が解決できない以上)現実的には非常に難しいものだと思います。しかしまた、被災した皆さんの思いをきちんとした形で世に問えるのは、これもまた裁判という方法しかないというのも現実です。

 こうした(表面上「憲法」が保障していると言われている)「人格権」の侵害は、日本国内だけでなく、世界の至る所で起こり続けています。世界などと言わずとも、「家庭」の中にも、「学校」の中にも、「職場」やスポーツの中でも、人がいるところには何処でも、この「侵害」は常に生じています。私たちは、常に暴力を行使し、暴力に晒される状況の中で生活し、生きているのです。生きるためには、(知らぬ間に)誰かの権利を侵害し、(知らぬ間に)侵害されているのです。(私などは、分かっていても止められはしませんが・・・)

哀しいかな、大きな「暴力」を持てば持つほど、自らへの「侵害」は少なくできますが、その為には、他のより小さな暴力しか行使できない人の「権利」は侵害しなければならないのです。(どちらも侵害しないということは「矛と楯」なのです)マザーのように、他の人の権利は侵害しない(つまり自己の権利を主張しない)、サリー2枚だけしか持たないと決めるしか、その暴力の「連鎖」、「侵害・被侵害」の地獄からは抜け出せそうにはないようです・・・

P.S. 米カリフォルニアのサンオノフレ原発での蒸気発生器の配管破損事故で(昨年の1月から停止中)、設計した三菱重工業、事業者である南カルフォルニア・エジソン社が、設置前から設計に問題があることを認識していたことを示す内部報告書が露見しました。同社は2010年と11年に、問題の配管を交換していますが、それ以上の根本的な対策を取らず、今回の事故が生じたとの内容で、今後NRC(原子力規制委員会)が調査を行うようです。有り体に言えば、欠陥商品だと知りながら、売り手(三菱重工)も買い手(エジソン社)もそれを使ったわけで、リスクマネージメントの観点からすれば、あり得ない選択だったはずですが、現実には「危険」度外視の「利益」最優先の慣習は、何処にでもある、ありふれたことなのでしょう・・・

P.S.2 問題の東電による「国会事故調」への妨害工作ですが、当時国会事故調を訪ねて虚偽の説明したのは企画部長の玉井氏です。東電はこの同氏が、「誤認」して誤った説明をしたと主張していますが、同氏は柏崎・刈葉原発の技術総括部長や、福島第1原発第1保全部計測制御1.2号グループマネージャを歴任した方で、しかも福島第1原発の職員から話を聞いた上で、事故調を訪ねています。1号機の現場検証という「危機」に際して、企画部部長が何を「企んだ」かは、誰の目にも明らかではないでしょうか?この問題に関して明日開かれる衆議院予算委員会で、東電の広瀬社長が参考人招致されますが、玉井氏については、(野党が要求した)証人喚問どころか参考人招致すら認められてはいません。正直、たとえ証人喚問をしても、彼らが事実を述べるとは思えませんが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年2月11日)

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