プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

グアム移転、「タカリ」の構造

2012-02-07 12:13:44 | 日記
 業を煮やした米国は、ついに普天間米軍基地の移設とグアム移転計画を一方的に切り離し、今度は普天間基地の補修費を要求してきました。海兵隊のローテンション先である、フィリピンやハワイ、オーストラリアの施設整備や訓練移転費の負担要求も現実味を帯びてきました。そもそも、グアム移転は米軍再編のロードマップで既に決まっていたもの。それを沖縄の負担軽減という名目で、日本から金を引き出す「金づる」としたのです。

 これまで日本政府は、(移転費用や関連施設の半分以上の約60億ドルを支出する)「グアム協定」に基づいて、09年度から既に経費を拠出してきています。しかし11年度は未だ提供していない為、米国は議会で移転予算を否決し、日本に圧力を掛けていました。「金」を出さなければ、グアム移転もないし、(世界一危険といわれる)普天間飛行場の移設もできないよと。その思惑が、沖縄県民の反対で頓挫するなか、海兵隊の一部だけでも移転して、「金」を引き出そうという魂胆なのです。しかも、普天間基地の補修費を要求することで、同基地の「固定化」を印象付け、日本政府をさらに脅しているのです。さっさと(沖縄の)地元合意を取り付け、「協定」どおり「金」を出せと・・・

 米国にとって、沖縄の基地も、沖縄県民も、もっと言えば日本も、日本国民も守るつもりなどありません。ましてや、台頭著しい中国と一戦構えるつもりは毛頭ないのです。静かに中国の軍事ラインから遠ざかり、そのラインの外をグルグル回ることで、衰退著しい覇権国としての対面を保とうとしているだけです。沖縄基地の「負担」軽減を望んでいるのは、実は米国なのです。できるならば、一刻も早く沖縄から、日本から基地を撤退したいのです。しかしその際、できるだけ日本から「金」を引き出したい。出さないなら撤退しないぐらいの「タカリ」の構造がそこにあるのです。

 問題は、米国の「占領下」にある日本政府が、その自覚を持っていないことです。また、日米関係と日中関係を切り離して考えていることです。経済的には最早抜き差しならない関係となっている日米中ですが、政治的には未だ日本だけの内向きの考えに支配されている傾向があるのです。日本が敗戦後、米軍の軍事、政治的な支配の下、経済の発展を遂げたように、今後の日本も、米中の強い影響下で、剥がれ落ちた中間層の復興も空しく、(製造業の軒並みの衰退と)金融サービスのみに特化する産業構造に転換していくしかないのです。米国のごり押しするTPPにも参加せざるを得ないし、消費税の20%までの増税と超円高を甘受するしかないのです。

 この圧力を撥ね返す力は、(これまでも、これからも)日本にはありませんし、そうした動きは、逆に日本を孤立させ、只でさえ危うい日本の立場を危険水域にまで達せさせることになります。哀しいかな、米国と今後覇権を握るであろう中国の意向に背いた動きは、日本は取れないし、取ってはいけないということなのです。でもそれでは、余りにも日本と日本人の主体性がないではないかと、思われるかもしれません。確かにそうです。ただ、・・・

 かつて世界の覇権を欲しいままにしたスペインやポルトガル、またオランダやイギリスの凋落振りを見て、日本だけは例外だと考える方はいないでしょう。ギリシャは言うに及ばず、米国もまた同様に財政赤字に苦しみ、経済格差は甚だしく、(Mさんが言われるには)移民を使い捨てにしながら、なんとか中国の背中に乗っかろうともがいています。その中国すら、現在は小さからぬディプレッションに見舞われています。世界経済は、手を伸ばせば「世界恐慌」前夜の様相なのです。その霧を一掃する(イラン)「戦争」が切望されているのも、無理はないのです・・・

 そんな中、米国からチクチクと「金」の無心をされ続ける日本の現実を見るにつけ、腹立たしく、憤りを覚えない日本人はいないと思いますが、このなけなしの金でもって日本もまた生き残りレースの末尾にくっ付いていいかなければならない現実もあるのです。この世界の、「利」のシステムを否定し、その全てを捨てて生きていくことは不可能だからです。いえ、不可能ではありません。(持てる物を全て捨てて、)マザーのように生きればいいのです。針の穴を通り抜ければ良いだけのことなのです・・・

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