プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

原発事故 被災家屋の賠償基準

2012-08-29 13:03:50 | 日記
 原発人災事故後の政府の対応が様々な点で問題を含んでいますが、被災家屋の賠償基準もその一つです。(以下、引用は『朝日新聞』)高線量地域である飯舘村の長泥地区は「築50年を超える建物」が多いそうですが、7月に東電が提示した被災家屋の賠償基準は「固定資産税評価額と国土交通省が公表する平均新築単価」のどちらかで算出するため、例えば築60年、広さ200㎡の家では「固定資産税評価額を基にした東電基準では約100万円」で生活再建には程遠い額です。

 政府の(4月末の)説明会ではそれまで、「生活再建がきちんとできる」ことと、「固定資産税的には低い家であっても・・・収用法などを参考にしながら」の賠償を強調していたそうです。「収用法とはダムや道路を造るといに使う法律」で、「家屋だと、別の場所に同じものを移転・建築する費用が賠償される」ものですしかし、東電が示したのは「収用法」ではなく、固定資産税による算定方式でした。政府は、住民の反発を見越して、(いつもながらの)嘘の説明をしていたことになります。

 東電には「別途、個別評価で賠償」という選択肢を用意しているそうですが、不服のある者は裁判でも何でもすればいいとの、加害者としては全く誠意の見えない対応としか思えません。勿論、東電に賠償を丸投げし、自らはその責任を免れている政府もまた同罪です。同村の長泥地区は、集団で紛争解決センターに集団申立をしていますが、やはり今後、きちんとした賠償を求めていくには、こうした申立や裁判とならざるを得ないように思います。

しかしながら、公害や薬害、原爆被爆の問題を見てみても、いつも被害者が病んだ身体に鞭打ちながら、自腹で長きに渡る裁判闘争をしなければなりません。それでも結果は余りにも厳しい現実を突きつけられるのです。精神的な苦痛や周囲の無理解に耐えかねて、落ちこぼれていった被害者は少なくはありません。申立したくても、できない方々も沢山いたのではないかと思います。どちらにしろ、生きることは「地獄」そのものだと感じざるを得ません。ただ、どのように生きるのかは、一人一人が決めるしかないのだと、「地獄」に生きる者の一人としてそう思うのです・・・

P.S. 青森県八戸沖で獲れた(回遊魚の)「まだら」から、133ベクレルのセシウムが検出されたそうです。水揚げされたのは岩手県の盛岡市で、既に一部は消費者に売られたとのことで、実は6月にも「まだら」から116ベクレルを検出、出荷自粛をしていましたが、(1ヵ月後に)解除した途端に今回の検出となり、現在は出荷停止となっています。青森沖では、原発事故後に26件の検査のうち23件は50ベクレル以下ということで、基準こそ下回っていますが、汚染の影響はあるようです。「まだら」は400キロ近く遊泳できるそうで、高濃度の汚染海域から来たものの可能性があるとのことですが、少なくとも(海は繋がっており)放射性物質が拡散しているのは確実だと思うのです・・・

P.S.2 (大分前のことですが)明石昇二郎氏は、福井県の原発周辺の住民の調査を実施し、「91年から93年の悪性リンパ腫の発生率は全国平均の1,71倍。特に多い集落は10.06倍」との発表を行なっています。これを「放射線影響協会」はその結果を否定、しかし1996年ドイツの研究者から「白血病については原発立地の方が常に相対リスクが高く、近年になるほど上昇している」と指摘しています。実は94年に「疫学調査の必要性を指摘した」立命館大学の安斎育郎氏は、「何らかの兆しが指摘された以上、詳しく調べるのは行政の責務」だと述べています。「高い公正性と公開度が保障され、調査結果が社会に受け入れられる新たな仕組みを作る必要性がある」と訴えられていますが、まさにこの世界の「利」のシステムとは、真っ向からぶつかり合うその「仕組み」(構造)ができあがることを(心から)願ってはいるのですが・・・

P.S.3 「原発周辺の活断層が連動して想定を超える地震の揺れを起こすと指摘されて」いる「北海道電力泊原発、北陸電力志賀原発、中国電力島根原発、四国電力伊方原発」の4電力会社は、「重要施設の耐震安全性に影響はないとする評価結果」保安院の専門家会合で示し、「追加の耐震補強は不要」と公言しました。自らが持っている資料さえ出さない電力会社の言うことを、最早信じている国民はいません。地震が連動してメガ・クウェイクが起これば、原発の耐震評価などあっても無きが如しです。いくら耐震補強しても、全き安全など保障できないのが現実なのです。原発人災事故が起きても尚、未だにその「人災」の最も基本的な構造が変わっていないということに、(諦めとともに、やはり)憤りを覚えずにはいられません・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年8月29日)