ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

AADRLのパヴィリオン

2008-04-26 09:25:20 | ロンドン・hcla
AAスクールの前にパヴィリオンが建ったよ、と会社の同僚に教えてもらって観にいった。AAの修士コースに設置されたDRLという研究室(HPは文字が小さくて読む気がおきない…説明を聞く限り今のAAにおけるデザイン教育の中心なのかな)の10周年を記念してつくられるパヴィリオンで、学内コンペでデザインが決まったものらしい。





ガラス繊維で補強された厚さ13ミリ幅270ミリ長さ1800ミリ程度(いずれも実測)の円弧状プレキャストコンクリートパネルを、縦横に差し込んでつくられている。パネル同士が噛み合っている部分には黒いゴムで補強がされている。見る角度によってはこれが結構目立って気持ち悪い。見たところこのゴムパーツは噛み合う角度に応じて何種類かの個別の形状をしているようだ。





構成するPCパネル一枚一枚は上記の通り短いものなので、各列には少しずつパネルとパネルの間に隙間が開いているが、ドームの中央部分にはありつぎによって同一平面状でパネルを継いで端から端まで一つながりのアーチを構成している列(構造的安定性を担保?)が何列かある。コンペ案のイメージCGをAADRLのサイトで見たが、当初の想定よりも実現案はアーチのライズが高くなっているようだ。外から見る限り、設置部分は地面に置かれたコンクリートのベタ基礎の上にただ「乗って」いるように見えた。あまった端材が隙間に差し込まれている。





欠けた部分からもさもさっと出ている繊維を見て、昔北京で見た何かの動物の毛が混入したコンクリートを思い出して不安になったが、ガラス繊維で補強されたコンクリートGRCは曲げに強く、日本でも建築用途に使用されているコンクリートの軽量化(薄肉化)技術らしい。



この形態でコンクリートを選択した必然性は不明。スタディ風景の写真を見るとモックアップは合板でつくられていたみたいだけど、これが合板パネルで建ったら当たり前すぎるか。パネルが何種類あるのかはよくわからなかったが、形状が複雑にうねっているのでおそらく効率は悪そう。そうなると異なる形状のパネルをいちいち型枠でつくるとは考えられないので、この場合コンクリートパネルを切り出しているんだろうか。



陽炎のような石造建築って感じでした。

平面図断面図を描かずにまず三次元でモデリングをし、必要に応じて「切断」した面が平面図だったり断面図になったりするのがAAのやり方だと聞いた。そういう意味では、このデザインもおそらく平面図を描くことに意味がない。個々のパーツとその組み合わせ方が、設計図。まあパヴィリオンには床も壁も必要ないから。
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