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ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

ロンドン寒い

2013-10-14 22:06:10 | ロンドン・hcla
日曜日。昼前に目が覚めるも、体調が悪い。風邪だ、と思い布団の中に入っていたらいつの間にか眠っていた。昼過ぎに一度目が覚めて奥さんと話して食事をとって薬を飲んだ記憶があるが、次に起きたときには月曜日の朝であった。何度も日付と時間を確認してしまった。日曜日はどこへ消えた?

月曜日。早めに目が覚めたが寒くて外に出られないので、週末に宿題として持ち帰ったディテールのことをあれこれと考える。出社後、すぐにホールデンとミーティング。あれこれとメールの処理をしている間に昼。同僚とディレクターと三人でタクシーで現場へ。現場の新しいスタッフとの顔合わせミーティングのあと、仮設の足場を歩きながら現場を点検。いくつかの事柄について現場事務所で話し合ったあと、6時過ぎに終了。再びタクシーで会社に戻り、レポートの下書きをしてから帰宅。いくつかの私物を持ち帰る。ロンドンは急激に寒くなった。今日も早めに寝ることにする。 

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大アップデート会、など

2013-10-13 01:38:47 | ロンドン・hcla
9時過ぎ起床。徒歩15分で開館と同時にRIBAの図書館へ。19世紀英国S造建築の分離性と分解性、まずはクリスタルパレスの移築について調べてみることにして資料を探す。移築後のクリスタルパレスの研究本が三冊と、移築先の行政区の郷土資料が見つかる。研究本の移築計画/移築プロセスに関する部分の章と、1853年のThe Builderに掲載された高層建築への転用案を、スキャンする。日曜日にじっくり読むことにして、昼過ぎに一旦会社に向かう。

オフィスの拡張に伴いITエンジニアが作業中で無線LANがダウンしていたため、急遽ポータブルWiFiを調達に走る。少し遅れて2時半からSHARISHARISHARIの大アップデート会。18人が集まる。今季から市内の大学に留学する学生の方も新しく3人来てくれた。僕を含め11人のメンバーから最近の個人活動を報告してもらう。先日優秀賞をいただいたユニバーサルホームコンペの応募案も紹介し共有する。これからしばらくはプロジェクトごとの小グループベースで動くことにして、一ヶ月に一回くらいのペースで大アップデート会を開くのがバランスが取れた活動になるのかもしれない。次回は外部の方も招いて開きたい。

6時半に終了し、僕は離脱してRussell SquareのイタリアンCiao Bellaへ。渡英中の建築学科同期星野くんを迎えて、在英の僕とみきさんあつこさんの四人で夕食。近況に加えて、他の同期の消息話など。デザートは近くのCarluccioに移動してさらにまったり。楽しい時間はあっという間に過ぎて、11時過ぎに解散、帰宅。
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『Atomos』

2013-10-11 23:26:20 | ロンドン・hcla
朝、体調が優れず布団の中から会社に連絡。午前中は寝て過ごす。オフィスマネージャーから家で休むようテキストが来るが、昼前にアクセスした会社のメールの受信箱に大量の緊急メールを発見し、とりあえず同僚に携帯電話で対応を指示したあと、昼過ぎから出社。粛々と処理。夕方、工場製作が始まる種々のガラスパネルについて、接合部のネジやワッシャー等の仕様をホールデンとチェック。こんなに小さな部品だけど、いろいろな知恵が注ぎ込まれているのだ。終業前、僕の次くらいに古株の同僚とHCLAの将来のIT環境オフィス環境についての検討。プロジェクトの規模が大きくなり、所員数も増えているため、後手に回らぬように環境を整えて行こうと計画しているもの。僕はあと数ヶ月で去ることになるが、彼のように会社にコミットしてくれる人物がいるのは安心である。終業後、新谷さんと少しおしゃべりしたあと、僕は会社を出てSadlers Wellsへ。Wayne McGregor | Random Danceの新作『Atomos』のワールドプレミアを観る。毎回、映像/音楽/視覚芸術/科学/技術といった分野の第一人者たちとのコラボレーションが話題だが、今回はあまり楽しめなかった。以前観て感動した『Infra』のようにはダンスと融合してなかったなあ。(ちなみに2000年以降に始まったMcGregorと認知科学者や社会科学者との共同研究の一部が今Welcome Collectionで披露されている。10月27日までなので忘れず行くようにしたい) 帰宅後、奥さんから絵はがきが届いているのを発見。思いのほか届くのに時間がかかったので、心配した奥さんから絵はがきの図柄とか書いてある内容とかすでにSkypeで聞いて知っていたけど、うれしい。奥さんが友達と行った「魔法の美術館」のもの。

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The Light Princess

2013-10-11 01:15:41 | ロンドン・hcla
終日現場のプロジェクトの作業。階段室の手すりのディテールを詰める。昼休み、週末のSHARISHARISHARIの会のアジェンダを更新。久しぶりに参加してくれる人も個人の経験をたくさん共有してくれるので楽しみ。今後の活動にもつながる充実した大アップデート会になりそうだ。午後も仕事をしたあと、夜はNational Theatreでミュージカル『The Light Princess』を観る。『The Curious Incident of the Dog in the Night-Time』や『War Horse』を手がけたMarianne Elliottの新作である。つくり込まれた演出に比べて筋書きがありきたりだなと思って観ていたが、原作はスコットランドの妖精物語とのこと。呪われた王子と姫を敵対する国同士の悲劇の恋人に、物語の鍵となる湖を戦争中の両国の間にある緑あふれる緩衝地帯に、という説明的な脚色はかえって筋書きの平凡さに寄与していた気がする。母を失ったショックによって(原作では魔女の呪いによって)重力を失った「軽すぎる姫」が王子との出会いを通じて呪いを解くまでの話であるが、男女4人の黒子たちがバレエのリフトのように主人公の女性を代わる代わるアクロバティックに持ち上げ続けるという演出はダンスのようでもあり面白かった。ワイヤーによる命綱無しでその不安定な格好のまま、バランスを取るそぶりも見せずに歌い続けるのだから、すごい信頼関係である。森の中を車で疾走するシーンや、群衆の中で主人公の心の声が聞こえるシーンなど、時間の流れ方のスピードを自在に変えて舞台上の「その一瞬」に観客を引き込むのがこの演出家はうまい。
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段ボール箱が片付く

2013-10-10 01:00:57 | ロンドン・hcla
終日現場のプロジェクトの作業。階段室の照明と仕上げのディテールチェック。アパートメントの間のプライバシースクリーンのディテールチェック。夕方、現場へ。プライバシースクリーンの磨りガラスのサンプルをチェック。新しいサイトマネージャーの顔合わせととミーティング。サンプルを持ってそのまま家に帰る。帰宅して夕食後、時間があったので部屋の掃除。引っ越しのあと未開封のまま残っていた段ボール箱を2つ処理。たまっていた洗濯物も処理できてよかった。
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同期との再会

2013-10-09 00:17:38 | ロンドン・hcla
午前中、現場から送られてきたメッシュスクリーンのディテールチェック、ペントハウスの照明のディテールチェック。途中、先日入賞したコンペ事務局の方と電話で表彰式当日のことなど何点か確認させていただき、東京から出席するSHARIメンバー藤巻くんにも連絡。昼は近所の日本人が経営しているらしきお弁当屋さんでテイクアウェイして新谷さんと公園で食べる。僕は東大の赤門ラーメンを思い出させる麻婆ラーメン。午後はフィージビリティスタディのリサーチ。周辺敷地の調査を進める。夕方、現場からメール。確認のため明日現場まで行かなくてはいけなくなるかもしれない。

終業後、RIBAの図書館へ。修士論文の続きを書く糸口にしようと、19世紀英国S造建築の移築の事例(@mattsuさんが指摘してくれたところの「分解分離性」)について調べ始める。図書館が閉まる直前、出張中の建築学科同期が近くにいることがわかり、待ち合わせて夕食に誘う。少し歩いて、創業99年の歴史あるフィッシュアンドチップスの店へ。店には代々のオーナーの名前と国籍(最近はイタリアかギリシャ)が書かれている。アルコールは持ち込み自由なので、近くの酒屋でラガーとエールを買って乾杯。のんびりとした店員に合わせてゆっくり食事したあと、近くのにぎわうパブでギネスをもう一杯。久しぶりなのでいろいろと話す。また後日別の同期たちと一緒に集まるので、お店の希望などを聞いてからホテルまで送り解散。帰宅後、就寝。
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すでに届いていた

2013-10-07 21:47:59 | ロンドン・hcla
朝起きると父から「おめでとう」とのメール。先日SHARISHARISHARIとして提出したコンペの件で、電話連絡先として書いていた父の事務所に担当の方から連絡をいただいたらしい。入賞を報せたメールが届いていないようですがとのことで確認してみると、先々週いただいたメールがスパムのフォルダに自動で振り分けられてしまっていて見逃していた。今か今かと待っていたメールが、10日前にすでに届いていたとは。お礼と、表彰式の件についてすぐに折り返し連絡。コンペに参加したロンドンと東京のSHARISHARISHARIメンバーにもさっそく結果を共有する。

出社後、現場から届いていたいくつかの質問事項を処理し、コントラクター側のデザインコーディネーターと電話で現場の進捗状況などいくつかの確認をする。昼前、ディレクターと別件のフィージビリティスタディの件でミーティング。スタディを始める前にクライアントに検討してもらう事項を整理しメール送信する。その後は行政区に提出されたプラニングアプリケーションのアーカイブを見ながら、スタディ敷地周辺で進行中の計画案についてリサーチ。今日は隣の席の同僚が風邪で休んでいたが、僕も少し風邪っぽい。昼は少し贅沢してうどんを食べて養生。夕方、現場から届いているメールに対処したあと、早めに帰路につく。今日は風邪薬を飲んで早めに寝ることにする。

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Brent Civic Centre / 『Fused』

2013-10-06 22:49:44 | ロンドン・hcla
昼前、奥さんからのSkype呼び出し音で起床。ぼんやりとしながら会話をしているうちに少しずつ目が覚める。昼過ぎ、出張でロンドンに来ている建築学科同期と連絡がついたので在英同期との集まりを来週にセッティング。

午後から北ロンドンへ小旅行。北へ向かう地下鉄が軒並み止まっているので、マリルボン駅から鉄道で。ウェンブリー・スタジアム駅で降りて、Hopkins ArchitectsによるBrent Civic Centreを訪ねる。



石井くんとの待ち合わせまで時間があるので、カフェで£2.5の野菜カレーと£3.0のフィッシュアンドチップスを食しながらしばしぼんやり。



Brentはロンドンの北西部に位置する、大ロンドン域内でも大きな行政区のひとつ。最も多様な人種構成を持つ行政区としても知られ、イギリス国籍を持つ白人は人口の1/3、残りをアジア人黒人アイルランド人様々な人種が占める。Brentの中心都市であるWembleyでは、Make(Foster事務所から分離独立した設計事務所)のマスタープランによりウェンブリースタジアム北西部の再開発が進められ、その中核施設として£90mをかけて建設されたのがこの新総合庁舎である。財政難な行政区としても知られるBrentであるが、これまで14の建物に分かれて設置されていた庁舎機能を一つに集約することによる費用削減(£2.5m/年との試算)と、結婚式場やイベントスペースなど商用目的に積極的に施設を貸し出すことによる収入増をみこんでいるようだ。そのハイテック・スタイルな外観と、効率的で戦略的なプログラムから、「公共サービスを提供しつつ利益も生み出す21世紀のマシン」と評されてもいる



施設に入りまず迎えられるのが二階のカフェへと続く大階段。この日も行われていたように、市民参加のイベントを催す劇場として設計されている。北西に位置するL字型の庁舎棟はこの巨大なアトリウムを見下ろすように配置されている。アトリウムを覆うETFE膜の屋根はそのまま円筒状の多目的ホールをもカバーし、公共機能を収める象徴的な「ひとつの屋根」を形成する。(Norman FosterのReichstagのコンペ案を思い出す…)




石井くんも合流し、4時半から建築ガイドツアーに参加。Hopkins Architectsの南雲さんが解説をしてくれた。おそらく地元の方達であろうツアー参加者は、南雲さんを質問攻めにしたり隊列を離れて隅々まで覗きに行ったり、みなさん積極的であった。





執務室はホットデスク方式で、全職員の8割分しか机の数がない。二階分ずつの執務室がペアになって螺旋階段でつながっていて、異なる部署間の連係を促しているとのことだ。打ち放しのコンクリートはサーマルマスとして室内環境の安定に寄与する。屋上の太陽光パネルに加えてFood Wasteで稼働するバイオマス発電機が設置され(具体的には廃棄された魚の脂で稼働するらしいが、他にも11種類の異なる燃料で動かすことも出来る)、施設の使用電力の20%をまかなっている(敷地内で20%のエネルギーを再生可能な方法で生み出すことはロンドン市内のプロジェクトでは必ず求められる)。優れた外皮性能や、パッシブとアクティブを組み合わせた様々な環境制御手法などにより、サステイナビリティ性評価基準Breeamの2008年に新設された最高レベルOutstandingを獲得する最初の公共建築となる見込みである(Breeam Outstandingの取得には竣工後三年間の使用中の評価も必要)。





柔らかな木材もところどころに使用されているが、やはり空間を印象づけるのは、ホプキンスらしい力強いコンクリートと鉄骨のフレーム、メタルのクラディングである。同じくホプキンス設計の、国会議員会館のアトリウム、そこに接続する地下鉄ジュビリー線ウェストミンスター駅のエスカレーターホール、の印象と似ている。巨大な空間の巨大さ。



ブレース、そしてブレース。すっと屹立するマストに翻るユニオンジャック。英国ハイテック!

さて、今回のオープニングセレモニーでは、様々な催し物が施設内で用意されていたのであるが、鉄骨の支持構造が印象的な大ホールではEnglish National Balletによる小作品『Fused』(『溶けて合わさった』)が上演されていた。建築ツアーのあとにちょうど最後の上演回を観ることが出来た。クラシックバレエとカタック(インド北西部に伝わる舞踊)を融合した新しいダンス作品を、Brentの地元のダンサーたちと一緒につくりあげてセレモニーで上演すべく、English National Balletの協力のもと初夏にオーディションとワークショップを行うなどして準備が進められてきたもののようだ。踊っているダンサーの体つきを見てEnglish National Balletの所属ダンサーではなさそうだなと思ったが、ダンス経験3年以上の条件で集められた16-24歳の若い地元ダンサーたちだったようである。10分あるかないかの短い作品であったが、緩やかな音楽に合わせてのびやかに踊る、気持ちのよいダンスだった。



すべての催しが終わり帰路につく僕らの後ろから、ステージ衣装のままダンサーの女の子たちがエスカレーターにわいわいと乗ってきて、そのまま、まだエントランスに留まっている地元住民の輪の中にまぎれて消えて行った。セレモニーの司会者が集った人々に語りかけていた言葉がよみがえる。「20年後、いや、2年後でも十分かもしれません。みなさんが今日ここで、シビックセンターで行われた最初のライブパフォーマンスに立ち会ったのだということを、新しいBrentで思い出していることでしょう…」
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山下くん帰国

2013-10-06 03:30:10 | ロンドン・hcla
寝ている間に携帯の電池が切れてアラームが鳴らず、3時過ぎに自然に目が覚めるまで寝てしまう。急いで支度して会社へ。歩きながら、ここ数日の睡眠で体力が完全に回復したことを感じる。4時からSHARISHARISHARIの会。久しぶりなので、集まっていなかった間のメンバーの近況などを教えてもらう。次回はきちんとプログラムもつくってそれぞれの個人活動を発表し合う大アップデート会にする予定だが、山下くんは来週帰国して京大に戻ってしまうということで、彼が先日参加した建築ワークショップでの成果物について教えてもらう。社会学を学ぶ彼は渡英直前に参加した共同調査で建築系の研究室との交流があり、ロンドンにいた一年強の間は建築を学ぼうと、SHARISHARISHARIの活動にも積極的に参加してくれた。修士論文ではショッピングモールを題材にし、アクターネットワーク論を使って社会学調査に建築空間の分析を取り入れようとしたり。帰国前の締めくくりとして、建築学生向けのワークショップに一ヶ月間どっぷり参加してきたのである。紹介してくれた成果物は門外漢らしからぬものであった。僕は調査に同行したりしたこともあったので、山下くんから彼の修士論文を預かった。夜は中華街のいつもの店でみなで夕食。夜半前に帰宅。
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不思議な夜

2013-10-05 00:47:04 | ロンドン・hcla
徒歩にて出社。ディレクターから改めてタスクのブリーフを受け、リサーチに入る。市内某所のフィージビリティスタディにあたり、敷地のコンテクストに関する下調べ。行政区と大ロンドン市の景観ポリシー、地割と周辺建物の歴史的変遷、敷地現況と既存建物の詳細についてデータを集め、昼休みにディレクターにブリーフする。昨晩から今朝にかけて現場から多くの図面が確認用に届いていたので、午後からは現場のプロジェクトに戻る。階段室の内装と手すりのディテールの確認、ガラスのプライバシースクリーンのディテールの確認。現場といくつかやり取りしてから終業。夕方、SHARISHARISHARIの今後について相談しようと新谷さんに声をかけたら、せっかくだから誕生日祝いをしようと気を使ってくれて夕食をセッティングしてくれた。カウンター席について煮物焼き物でお酒を飲みつつ閉店まで。ロンドンではありがたい、年上の相談できる方。SHARISHARISHARIの今後だけじゃなく、群馬でやろうとしていることがFosterのSainsbury Centreとどうつながるのかというところまで話させてもらえた。カウンター越しに僕らの会話を聞いていたらしい大将が、閉店間際、魚介の陳列棚を掃除しながら話しかけてきてくれた。北海道の小さな町の出身で、函館に出て次は東京進出だと思っていたところ、ひょんな縁からシンガポールへ渡ることに。日系企業が集うビルの日本料理店で働いた後渡英し、2年で帰国するつもりが早30年弱。食材の入手に苦労し、先輩たちにしごかれながら、異国の地で年を重ねて今に至ったのだと教えてくれた。大将の創作巻き寿司を二度おかわりして4種類いただく。定番の食材が2、3品、見たことの無い組み合わせで巻かれていて不思議にうまい。「行ったほうがいい、行けるなら迷わず行かなくちゃ」 断片的に耳に入った会話にその都度断片的に答えているだけのはずなのだが、大将のアドバイスは全部をひっくるめて次に進めと言っているような風にも聞こえて不思議な夜だった。
Comments (4)
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