シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

「所蔵品リスト」を公開しない財閥系美術館 

2011年04月03日 21時42分26秒 | Weblog
 (韓国大手新聞、朝鮮日報 11.3.24記事抜粋)
 韓国の財閥が美術品をめぐる脱税、申告漏れ疑惑をたびたび受けている理由は、どのような絵画をいくらで購入したかが全く分からないためだ。韓国で最も美術品収集に力を入れているといわれるサムスンの場合、湖巌美術館とリウム美術館の所蔵作品の全容が把握されていない。ほかも同様で、所蔵作品の目録を公開せず、新たな所蔵品の展示も行っていない。
 1990年代半ばまでは、サムスンの湖巌美術館と湖巌ギャラリー、大宇のソンジェ美術館とアート・ソンジェ・ギャラリー、SKグループのウォーカーヒル美術館、錦湖グループの錦湖ギャラリー、大林グループのハンリム・ギャラリー、東亜グループの東亜ギャラリーといった財閥系の美術館やギャラリーは競って作品を収集し、展示会も頻繁に行っていた。海外の画商は韓国の財閥の夫人らに会おうと躍起になり、フランスのある日刊紙は韓国の美術市場を「エルドラード(黄金郷)」と呼んだ。当時、財閥系美術館は購入した作品を企画展で公開し、一般人もこれを鑑賞することができた。
 しかし、90年代後半のアジア通貨危機後は状況が一転した。大宇グループの解体で財閥系美術館が萎縮したのに続き、2008年にはサムスンの不正資金をめぐり特別検事による捜査が行われ「財閥と美術」に冷ややかな視線が注がれるようになった。すると財閥による美術館運営は閉鎖的になり、美術品の収集は内密に行われ、その内容を公開しないのが一般的になった。美術界関係者は「最近の財閥による美術品収集は『私蔵』に近く、最小限の公共性もなくなった」と話す。
 財閥が私的に所有する美術品と美術館の所蔵品がはっきり区分されていない状態も、問題と指摘される。サムスン不正資金事件の捜査で、湖巌美術館の「秘密絵画倉庫」が見つかったことが、その代表例だ。美術評論家のチョン・ジュンモ氏は「海外では私立美術館でも規模が大きければ年次報告書と図録を発行し、購入内訳を開示しているが、韓国ではそうしたことが全くない。購入の経緯を明らかにしたくないなら、購入後にでも展示などできちんと作品を公開し、公共性を確保すべきだ」と指摘している。


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