小鳥の鳴き真似が、気持ち悪いぐらい上手い人がいた。子供の頃に小鳥を飼っていて、世話をするうち、知らない間に、できるようになったと。すごいもんである。あまりにもリアルで、もう一度書くが、気持ち悪いぐらいなのである。小鳥が鳴けば、それはチュンチュンとかわいらしいものであるが、当時、たぶん二十代半ばの男性で、仕事も熱心で、会うのはこちらの仕事の現場であれば、夜遅くのこともあり、はじめて聞かせてもらったのは、深夜の有楽町のラジオ局の前の路上だったかもしれず、深夜ともなれば、朝剃った髭も薄っすら伸びていたりして、それで、チュンチュンだったので、もう、びっくりした。もしかしたら、トラを飼っていたら、トラの鳴き真似ができるのかもしれない。鳴き、と書くと、トラがチュンチュンいいそうである。
洋司
洋司