『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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門立てて 戸もさしたるを 今日の出来心2015年2月26日(木)

2015年02月26日 19時01分11秒 | Weblog

門(かど)立てて 戸もさしたるを いづくゆか 妹が入(い)り来て 夢(いめ)に見えつる

門立てて 戸はさしたれど 盗人(ぬすびと)の 穿(ほ)れる穴より 入りて見えけむ

万葉集巻十二 3117、3118の問答歌です。

訳)

門も閉め 戸もさしてあるのに どこからあなたは忍び込んで 夢に見えたのですか

門も閉め 戸もさしてありましたが 盗人のあけた穴からでも 入って見えたのでしょう 

 

簡単に言えば、まず男が、

ドア、鍵けてたのに、君は、どこから入ってきて、僕の中に?

すると女が、

ドア、鍵かかってたけど、ドロボーがあけた穴からでも侵入して、あなたの夢に入ったんでしょう、と。

男の冗談に、女が乗って、うまく答えています。

漫才などによくある、乗り突っ込みは、まず、一度、乗っかるのが大事ですが、

そんな手法は、すでに、1300年前から、あったんでしょうね。

「門立てて」の「立て」は、しっかり閉める、というような意味。

これだけ聞くと、ピンときませんが、

「立てこもる」という言い方を、今もしますね、あの「立て」が、これ。

今日、講座で教わりました。

門は「立て」、戸は「さす」んですね。

 

問答歌というのは、問いに対して、いかにうまく、切り返せるか、

そこには、ユーモアのセンスも必要だったようで、

巻十二になると、それが必ずしも、成功している例ばかりでもないんです。

ほぼ一般の官人が、歌人のお手本を真似ながら、

社交のために作ったようなもの、

あるいは、元々、別のところにあった歌を並べて、

問答のように見せているものもあるかもしれません。

ま、そんなことで、今日、問答歌が終わって、

羈旅(きりょ)にして思ひを発(おこ)す、へ。

旅の歌の始まり。

まずは、柿本人麻呂歌集から、4首、お手本的に載っています。

これは見事。

歌の深みが、全然違う。

また、その辺も、勉強したいと思います。

さ、明日は、レコーディング最終段階。

マスタリングスタジオへ。

曲のタイムがわかり次第、デザイナーさんへ報告。

ジャケット関係も、完成することでしょう。

最後まで、気を抜かずがんばろう。

すっかり夜。

あたたかくしてお過ごしください。

美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
秒数 (いまこ)
2015-02-26 22:27:51
とっても、わかりやすい万葉集~( ̄▽ ̄)
嬉しいです。

ここまで、かみくだいてわかりやすく説明できるって
相当すごいこと!

頭が良くって思いやりがある
素敵ですね(^.^)

相手の声と想いを受け入れて
言葉を返す心の余裕と
センス溢れるユーモア
素敵ですね~( ̄▽ ̄)

明日はマスタリングスタジオへ
マスタリングってどんな作業かとワクワク

曲の秒数って聞いて
きゃ~
本当にできちゃう~
きゃ~

ってなってます(^.^)

明日の良い一日に乾杯~
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