『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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人言を繁み言痛み己が世にいまだ渡らぬ朝川渡る 今日の出来心2016年9月2日(金)

2016年09月02日 08時10分26秒 | Weblog

人言(ひとごと)を 繁み言痛(こちた)み 己(おの)が世に いまだ渡らぬ 朝川渡る

【万葉集巻二116】

但馬皇女(たじまのひめみこ)が、高市皇子(たけちのみこ)の宮に在った時に、

ひそかに穂積皇子(ほずみのみこ)と関係を結び、そのことがすっかり顕れたので、作られた歌。

 

訳)人の噂がうるささに これまで渡らなかった 朝の川を遂にわたることか

 

昨日は、楽しみにかよっている万葉集の講座へ。

巻二の但馬皇女の歌を三首と、

舎人皇子(とねりのみこ)、舎人娘子(とねりのをとめ)の歌のお話を、

たっぷりお聞きして、昨日も、すばらしいお話に感動したことです。

 

但馬皇女と穂積皇子の恋が、万葉集を読めばその物語として浮かび上がって来る。

 

ちなみに、高市皇子も、穂積皇子も、但馬皇女も、皆、

天武天皇の子。

それぞれ、母が違うという関係。

母系社会の当時、それぞれ、母方で暮らすので、

父が同じでも、別々に暮らしている。

 

高市皇子

母は、尼子娘といって、身分の低いところの出だったために、

天武の第一皇子だが、皇位継承からは、除外されていた。

太政大臣まで、上り詰め、696年に、42~43歳で亡くなる。

 

但馬皇女

高市皇子の愛を受けて、同棲していた。

高市が40歳前くらいのタイミングで、但馬は、おそらく、ずっと若かった。

そんな時、二十歳前後の、穂積皇子に心を奪われ、恋に落ちた。

 

巻二、114、115と、但馬の、穂積に思いを寄せる歌があり、

続いて、116が、人言葉を~。

 

人言を 繁み言痛み~ではじまる歌は、一つの型としてある。

巻四538、巻十二2895、2938、など。

しかし、それらは、

噂がひどいので、会えない、と歌うのに対して、

但馬は、堂々と会い、人目を避けようのない、明るい朝の光の中を帰った、と。

あさかわわたる、とア段の繰り返しは、明るい印象。

人言の垣を越えたさわやかさ。

 

既存の型よりも、あふれる思いが勝って、

作った、というより、できてしまった、という歌。

 

一連の歌へ、穂積の返歌は載せられていないけれど、

巻二203に、

但馬皇女が亡くなった後、穂積皇子が雪の降る冬の日、

皇女の御墓をはるかに見やって悲しみ、涙を流して作られた、一首が。

 

降る雪は あはにな降りそ 吉隠(よなばり)の 猪養(ゐかひ)の岡の 寒からまくに

訳)降る雪よ どっと降るでないぞ 吉隠の猪養の岡が寒かろうから

 

但馬は、高市の死後、穂積と結ばれたのか。

 

藤原宮あとから発見された木簡により、

少なくとも、独立した宮を構えていただろうことがわかる、と。

 

相変わらず、感動を、書ききれません。

8月、講座は、夏休みだったので、久々に行き、

聞いてるだけなんですが、

こんなに素晴らしいお話が聞けるなんて、

幸せだなぁ、とあらためて、思うことです。

 

1300年以上前の、恋物語。

人々は、1300年も、ずっとこの二人の恋が気がかりだったんですね。

 

久保田洋司も、冬の歌を、今、制作中。

1000年以上、気にかけられるような、歌なんてすごいなぁ。

がんばります。

 

さ、明後日、4日(日)は、横浜で、長江健次さんのツアー、横浜公演。

ツアー中、唯一の、スペシャル・カバーナイト!

健次さんが、ドリカムを、久保田洋司が、サザンを、

ツアーバンドのメンバーと共に、ガチ・カバーバトルです!

本気でやってます。

是非、応援に来てください。

****

*9/4(日)開演 16:00 前売 ¥5,000
 <横浜>パラダイスカフェ
横浜市中区住吉町6-72 シャンローゼ関内 B1F TEL:045-228-1668
※この日は、長江健次と久保田洋司による、ドリカムvsサザン カバーナイトです。

****

健次さんのツアーは、尾道、松山、と続き、大阪でファイナルです。

3公演、あの日本ロック界の至宝、伊藤銀次さんもベーシストとして参加します。

最高に楽しいコンサートです。
是非おいでください!

****

*9/17(土)開演 19:30 前売 ¥4,500
<尾道>JOHN Buger & Cafe
尾道市東御所町3-25 TEL:0848-25-2688

*9/18(日)開演 16:00 前売 ¥4,500
<松山>Live & Restaurant Bar“MONK”
愛媛県松山市三番町1丁目10-16 TEL:089-945-9512

*9/19(月・祝)開演 16:00 前売 ¥5,000
<大阪>フラミンゴ・ジ・アルーシャ
大阪市浪速区桜川1丁目7-27 TEL:06-6567-4949

ネットでのご予約はこちらから→ https://ws.formzu.net/fgen/S17872078/
自動返信メールの不達を防ぐため、できるだけPCメール(フリーメール可)でのお申し込みをお願いいたします。

会場へ電話で予約もOK!

****

 

そして、先日も書きました通り、

The東南西北、11月の尾道2公演のチケット、残り少なくなっています。

ご希望の方、お急ぎください。

よろしくお願いします。

****
The東南西北 2016 デビュー30周年記念 LIVE in ONOMICHI
 ~心のコンパスはいつも君の方角を指している エピローグ~
The東南西北デビュー30周年イヤーの締めくくりに、尾道で2デイズ・ライブ開催!
「Tail Road Story」は続きます。皆様、是非、尾道へ!

日時:2016年11月19日(土) 18:00開場 / 19:00開演
   2016年11月20日(日) 16:00開場 / 17:00開演

出演:久保田洋司、清水伸吾、大池茂文、入船陽介
サポート : Nao 

会場:JOHN Burger & Cafe
   尾道市東御所町3-25
   http://john-burger.com/

料金:予約4,000円/当日4,500円(要オーダー:1 ドリンク)

☆予約受付中!

【ご予約】
予約メールアドレス( tnsp1985@gmail.com )まで、
件名:<11月19日チケット希望>または<11月20日チケット希望>
※希望公演日をお書きください。
※両日ご希望の場合も、希望日ごとに一通ずつメールしてください。
本文:<氏名+希望枚数+郵便番号+住所>
を明記の上、お申込みください。
後日、<The東南西北オフィス・チケット事務局>より、お支払いについての詳細を返信致します。
*tnsp1985@gmail.com からのメールが受信できるよう設定されていることをご確認ください。
*期限内に指定の口座へご入金頂き、ご入金順にチケットを発送いたします。
 尚、期日よりも前にご入金されますと、フライングとして発券は後回しとなります。ご注意ください。
※プレイガイドでの発売はありません。
※お問い合わせ:The東南西北オフィス・チケット事務局( tnsp1985@gmail.com )

 

*********

今日も素敵な一日になりますように。

美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司


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3 コメント

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Unknown (匿名希望)
2016-09-02 23:38:02
今年は芸能界でもゲス不倫なぞが流行り、世間を騒がせてますが、万葉の世界から見るとこっけいなことだと思います。
万葉の世界は大らかで、今常識と信じていることが正しいのかわからなくなるスケール。

そんな中で変わらないのが、愛の世界?。
今より複雑で、自由がない中で、出会えた真実の愛を読んだ歌は、1300年たっても色あせなくて、当然なのかもしれませんね。

久保田君の新曲は、どんなあふれる思いが既存の型に勝って、作られているのか…聞ける日が楽しみです。続くライブ。お身体大切に、なさってください。
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Unknown (コス)
2016-09-04 23:00:41
何回も読んでしまいました。
ブログのタイトルが万葉集の歌のとき、いつもとても嬉しいです。

先日、古賀久士さんのコンサートで、詩作家の古屋利幸さんという方の詩の朗読をお聴きしました。
自分という存在をつくっているものについて書かれた作品なのですが、その詩を読むたびに、「私は、久保田さんの歌でできているなぁ」と思います^^
返信する
「恋力」朝まで待てない ♪ アサカワ ワタル (ラピスラズリ)
2018-12-27 10:39:02
先日Mステのスーパーライブで、菅田将暉さんの「さよならエレジー」の「愛が僕に噛みついて 離さないというけれど 」(作詞、曲は石崎ひゅーいさん)のところで

【巻16・3816】
家にありし櫃に鍵刺し蔵めてし
恋の奴のつかみかかりて 穂積皇子

を思い出しました。
この歌は誰に向けて、歌われたのでしょうね。
天智・天武兄弟と才媛額田王を巡るトライアングル同様、但馬皇女と穂積皇子のロマンスの実際のところ、気になります。

和歌はあくまでフィクション。決して事実を伝えるものではありません。そこから生まれる、ゆらぎもまた、万葉集の大きな魅力になっていると思います。

【巻16・3862】
志賀の山いたくな伐りそ 荒雄らが
よすかの山と見つつ偲はむ

「降る雪はあはにな降りそ 〜」にとても似ています。こうやって歌の型というものが出来ていくのですね。

【巻19・4197】
妹に似る草と見しより わが標めし
野辺の山吹誰か手折りし

額田王の「茜草指す 〜 君が袖振る」を知ってるのと、そうでないのとは、この歌から受け取るものは違ってくるでしょう。

【巻16・3858】
この頃のわが恋力 記し集め
功に申さば 五位の冠

当時の流行歌と。開き直って自分で自分を褒めてあげたい感じ、良いですね。

【巻20・4302】
山吹は撫でつつ 生さむありつつも
君来ましつつ 挿頭したりけり

野の風に揺れる山吹の、生命力の強さを感じさせる、鮮やかな花色が目に浮かびます。
小さきものを愛で、大切にする気持ち、万葉の重要なエッセンスだと思います。
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