『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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「ゆめゆめ」の頃。「聖諦」。今夜は「回すぜ!」。今日の出来心2017年2月28日(火)

2017年02月28日 09時45分25秒 | Weblog

2008年に出した「ゆめゆめ」というアルバムのために、

なにか撮影をしなくては、ということで、それ用にどこかにでかけて、

写した一枚。

「ゆめゆめ」とは、ご存知の通り、

副詞「ゆめ」を繰り返して意味を強めた語。

「努努」「努力努力」などとも書く。

(あとに禁止を表す語を伴って)決して。断じて。「―忘れるな」

(あとに打消しの語を伴って)少しも。まったく。「―考えもしなかった」

つとめて。心して。

ということで、久保田洋司「ゆめゆめ」タイトルチューンでは、

思い出はどこに消えてしまうのか、

ゆめゆめ忘れずに、などと歌っている。

しかし、自分の古いブログを読み返したところ、

当時、思っていたことなど、すっかり忘れていた。

なにか、諧謔をねらって、すまして書いているのが、恥ずかしくもある。

太宰治の「浦島さん」では、最後、忘却によりすべてが救われる。

ナイスなエンディングを考えたものだ。

そこで太宰が「聖諦」を、

本来の意味とは、あえて解釈を変えて、

聖なる諦めとして、静かに表現しているところも上手い。

諦は、もとは明める、明らかにする、つまびらかにする、というような意味で、

聖諦は「しょうたい」と言って、聖なる真理、ということだそうだ。

太宰はこれを「せいてい」と読み、

竜宮にはあるけれど、地上の我々には、なかなか到達できない、

崇高な、理想の境地、みたいなものとして、上手に書いている。

たぶん、そのへんも意識してだと思うが、

久保田洋司の「ゆめゆめ」一曲目、

「眠りの種類の前奏曲イ長調」では、むかむかしの、海の底の建造物のことが、

でてくる。

また、タイトルチューンでは、

君の髪を揺らした潮風、今は横を過ぎてくだけ、という、

万葉集収録の、志貴皇子の詠んだ、

采女の袖吹き返す明日香風都をとおみいたずらに吹く

を使ったフレーズもある。

鮮やかに覚えているからこそ、切なくても、心の揺れを感じられて、

そこが良いような気もする。

The東南西北の最新作「Thank you girl Thank you boy」のカップリング、

「切ない夜は、これでおやすみ」の中に、

覇気と、かわいげと、泣くことのできるハンカチ、さらに、

恍惚と、無執着と、やさしくて深い器を、ほしいと叫ぶ、

老人のお話の部分がある。

この、無執着は、太宰の「浦島さん」からの影響だと思う。

今は、ブログなど書いていても、

わざと諧謔をねらったりしていないだけ、まだ、ましのような気もする。

この老人は、自分の執着が、なくなればいいと思っている。

無執着である、という事自体が、そこに執着しているようでもあり、

ま、そこが、生きているということの、面白いところでもあるかもしれない。

今日も、レコード聞いて楽しむ会があるので、

よろしければ、ご一緒ください。

ゲストに、東郷昌和さんをお招きします。

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■2017年2月28日(火)「回すぜ!」
 The東南西北•久保田洋司による恒例!DJイベント!洋楽邦楽のレコードを久保田洋司とゲストが選曲して回しまくる!DJ.久保田洋司「回すぜ!」盛り上がってます!2月28日(火)は、特別ゲストに<東郷昌和>さんをお招きして、お届けいたします!
日時:2017年 2月28日(火) (18:30開場19:00開演)
出演:久保田洋司(DJ)
☆ゲスト:東郷昌和
会場:東京・世田谷「エムズ・カンティーナ」
   世田谷区上馬4-4-8 新町駒沢ビル 2階
   (東急田園都市線・駒沢大学駅 徒歩1分)
料金:予約3,000円/当日3,500円(自由席・1ドリンク代別途必要)
予約&お問合せ:「エムズ・カンティーナ」(予約フォームから御問合せください) 
予約フォーム:https://ws.formzu.net/fgen/S13353355/

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今日も素敵な一日になりますように。

美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司