いーちんたん

北京ときどき歴史随筆

「雑居四合院」の人びと7、今も胡同に暮らす人とは

2011年05月06日 21時59分44秒 | 北京雑居四合院の人々
今でも胡同の雑居四合院に暮らすのは、ほとんどが北京で最も低所得に属する人々である。
今日、雑居四合院に入ると空き部屋が少なくない。
そこに粗末な南京錠一つがかかかり、もう何年も人が住んでいないことが多い。




それはある程度お金に余裕が出来たり、職場からアパートが支給されると、
そこから引っ越していき、住まなくなった部屋である。


何しろ「大雑院(ターザーユエン)」生活は、

・ 狭い: ほとんどの家庭は一部屋でせいぜい一二部屋しかない。隣の部屋を買い取ることもできない
・ 暗い: 前述のとおり、ほとんどの部屋が「せり出し小屋」を立てているため、採光が悪く、24時間電気をつけなければならない。
・ 汚い: 水道が共同、雑多な人々が使う水周りを清潔に保つのは難しい。
・ トイレが遠い: 道端の公共トイレへ行かなければならない。時には数百mも離れていることもある。

の悪条件が揃っており、どうにも改善できない。


これでは条件のある人は出て行きたくなるのは自然だろう。


外国人が胡同の間を練り歩き、素敵だ、文化だ、と興奮できるのは、
人事だからであり、実際に住んだらひどく不便なのである。



***************************************************************************
写真: 番外編


西単の小堂胡同の王さんのお宅を後にし、
友人は実の祖母どののところに案内してくれた。


小堂胡同から歩いていくばくもない什坊胡同である。


おばばさま、やや耳も遠く、話の受け答えもおぼつかなく、
夢見心地なようだったので、写真を撮らせてもらうだけにとどめた。

  
    


  
   

ばばさまの住むのも、ごくこじんまりした「一進院」の雑居四合院だった。



   

中庭。ばばさまの住まいは、南向き正面の部屋である。



   

入り口には、豆炭を保管するための小屋を設ける。


   

「せり出し小屋」を造っていないため、南の太陽が冬でもさんさんと降り注ぐ。


   

部屋の中では、グリーンを育てる。琺瑯のコップは、使い込まれて年季が入っている。


   

暖房主力の豆炭ストーブ。
手洗い用の洗面器入れも必須の生活用品。

写真ではわかりにくいが、
上に重ねてある赤っぽい洗面器は、プラスチックではなく、なんと真鍮製。
めったにみかけないものだ。


せり出し小屋のない理由は、台所が共同になっているためである。
どうやら四合院の規模が小さいので、可能だったらしい。

   
   

台所の外観。
北向きの部屋をあてている。
誰も住みたがらない位置を利用。

入り口のテーブルの下に積まれたレンガや石に注目。
おそらく「スペアの建材」として、ストックしてあるのだろう。
ストーブの下に敷いて底上げしたり、ドアストッパーにしたり。あると何かと便利なのだろうか。

  



ばばさま、炊事中。

   



      人気ブログランキングへ にほんブログ村 海外生活ブログ 北京情報へにほんブログ村


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。