いーちんたん

北京ときどき歴史随筆

北京胡同トイレ物語2、 糞夫・時伝祥 3、都会の汚名を怖がらない

2011年04月03日 00時08分23秒 | 北京胡同トイレ物語2、糞夫・時伝祥
現代でもゴミ拾いをやっている河南人、四川人は地元ではそれを決して明かさない。
近所や親戚の人には、都会では工事現場で働いている、レストランの雑用をしている、などと聞こえのいいことをいうが、
実はそんな生易しい職業ではごみ拾いほどの収入はない。

現代のある興味深いエピソードがある。

海賊版CDやDVDを販売する業者に警察が手を焼き、摘発に努めたが、いたちごっこでさっぱり効果が上がらない。
摘発された業者は罰金を払って受けだされると、再び凝りもせず元の海賊版販売の稼業を続けるのだという。

そこで業を煮やした警察が考えたのが、犯人の本籍地の警察に知らせることだった。

すると、これが効果覿面、地元で犯罪者であることを知られたくないばかりに常習犯が大人しく足を洗ったのだという。



都会での自分は仮の姿――どんな汚いこと、人に顔向けできないことをしても平気。
広大な国土と膨大な人口の渦巻く国だけに一旦都会に紛れ込んでしまえば、
何をやっても故郷の人たちに知られることはない――。

現代でもどこか、そんな気分が存在することを認めないわけには行かない。

逆に言えば、都会の片隅でも同郷の人間は信用する。
悪いことをして故郷の人々に悪い評判を広められたくないがために自分を騙す確立が低いと思うからだ。


後述する『時伝祥』という彼の生涯を描いた映画には、
年をとってから時伝祥の妻が「(嫁入り先が決まった時)あなたが糞汲み取りしてるって、うすうす知っていたわ」というシーンがある。

時伝祥の四人の子供たちはあちこちで父親に関する活動に関わっており、
この映画の脚本も監修していると思われるが、
恐らく時伝祥の母親は、嫁いでくる娘やその家族、仲人などにも息子の北京での職業をうやむやに言っていたのだろう。


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写真:時伝祥記念館に到着いたしました。なぜ龍譚公園の中にあるのかというと、彼はずっと崇文区の公務員だったからなのですね。



2008年の設立。まだぴかぴかです。四合院とその中庭をサンルームにする形式で作られています。
入場無料です。龍譚公園の入場料が2元かかりますが。







入り口に入ると、時伝祥の塑像、左には蝋人形が陳列されています。
中はひんやりクーラーが効いています。

入場無料の公園の中の建物でこの快適さはけっこう感動的です。
レストランに入ってもかろうじて外気との温度差が感じられる程度の冷房しかかかっていないことが多いですから。


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