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政府事故調 県の対応厳しく指弾

2012年07月24日 | Weblog

(朝刊より)
 ●情報共有なく連携不足
 政府の事故調査・検証委員会が23日公表した福島第一原発事故の最終報告は、住民や入院患者の避難に焦点をあて、県の態勢や警察、自衛隊との連携不足を厳しく指弾した。「県が前面に出て対応にあたる防災計画」の策定を迫るなど、県の責任を追及している。
 「患者把握への問題意識に欠けた」「情報を県災害対策本部内で共有せず」――。報告書では、県災害対策本部の組織内や警察、自衛隊との連携不足について1項目を割いて、事故対応の問題点を検証した。特に入院患者が避難区域に取り残され、救出、搬送までに19人が亡くなった双葉病院の問題を取り上げた。
 政府事故調は、救出の遅れの一因として、災対本部内の縦割りを指摘した。避難用車両の手配、残留患者の把握など担当の班が分散し、患者の把握について「自班の業務との問題意識に欠け、互いに確認することもしなかった」と批判した。
 さらに、救出を待つ院長や警察からの連絡が「災対本部内で共有できず、自衛隊と合流できなかった」などの不備を列挙。救出に向かった自衛隊の対応についても、無線連絡の手段を持たず、警察との協力もうまくいかなかったとして「責任の重さを自覚すべきだ」と反省を求めた。
 また、地震や原発事故の「複合災害の視点」が国や県になかったことを指摘。事前の防災訓練は「数百人規模で参加する程度で、原発事故に対応できる中身ではなかった」と備えの「穴」を明らかにした。
 政府事故調はそのうえで、住民も真剣に参加する実際的な訓練、十数万人規模の住民避難を想定した準備について「市町村任せにするのではなく、避難計画や防災計画の策定、運用に県や国が積極的に関与する必要がある」と提言した。
 県は昨年末から、震災や原発事故の対応をめぐる反省をふまえ、地域防災計画の見直しに着手。しかし、11月を目標にする見直しは計画の初動対応にとどまり、計画全体の抜本的な見直しは来年以降に先送りされた。県災対本部は「連絡体制の不備は否定できない。真摯(しんし)に受け止め、複合災害にも備えられる見直しを急ぎたい」としている。佐藤雄平知事は、政府事故調の最終報告に「県として、住民避難のあり方に関する提言などをしっかり受け止め、地域防災計画の見直しに反映させたい」とのコメントを発表した。
 
 ●被災者、「悔しい」「これからが大事」
 「被害者の視点からの取り組みがなかった」。双葉町から福島市内の仮設住宅に避難している川原光義さん(70)は、政府事故調がそう指摘したことにうなずいた。
 「防潮堤をかさ上げして、事前に阻止できることばかりだった。想定外ではなく、想定されていた。利益優先だった。そこが一番悔しい。東電も国も想像力の欠如だ」と話す。
 事故調は被曝(ひばく)線量に関する政府の説明も不十分と批判。文部科学省は当初、校庭利用の基準値を「毎時3.8マイクロシーベルト」としたが、事故調は「強い不安を解消するものとは言い難く、適切でなかった」と問題視した。
 小学4年の女児(9)がいる福島市内の母親(32)は「当時は『本当のことを言っているのかな』と不信感を持った。最近は、線量などへの政府の説明も姿を消した」。不満は募るばかりだ。
 原発被災者に対する政府のずさんな対応が明らかになる一方、被災者は賠償問題や仮の町など将来に向けた課題に直面している。会津若松市に避難している大熊町の鈴木利徳さん(73)は「過去の検証も大事だが、それよりも大事なのはこれからの話。政府の中で答えを出してくれた人は誰もいない」。

(国会事故調の指摘のほうが厳しい。今後さらに検証が必要だと思う。同時に被災者の方々への手厚い支援が一刻も早くなされなければならない。)

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