自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

葉脈

2013年11月13日 | Weblog


 落葉樹は8割がた葉を落としている。毎年葉を落とす訳だが、二ヶ月もすると芽吹く。一枚々々の葉の命は短いが、木は無数の葉を次々と生み出し実を落としながら何十年、何百年、ときには何千年も生きる。一つの個体でありながら、同時に種としての普遍を表現しているとも言える。アメーバから人間までの生物学的進化を示す、幾つにも枝分かれした「系統樹」という図があるのも、そうした木の命の相からヒントを得たからかもしれない。
 一枚の葉も、よく見れば、木全体の縮図にも見える。橡でも欅でも椿でも、よく見ると、その葉柄からのびる葉脈は、幹から分かれる枝に似ているようにも見える。一枚の葉が、緑の葉を繁らせた一本の木のように見えないだろうか。葉を水の中で腐らせて溶かして(子供の頃したように、あるいは運がよければ見つかるのだが)、葉脈だけを残した葉は、葉を落とした冬の日の木の縮図のようで美しい。
 自分の縮図である葉を無数に繁らせて、夥しいいわば小宇宙を身につけたいわば大宇宙といった風格で、悠然と佇んでいる木もある。
 かつて落葉照葉樹林の道がケルトから大陸を通り日本にまで続いていた時代が遠き昔あったそうだ。シルクロードと海路ともう一つの道があったそうだ。その木々の伐採を糧に人々は文明を築いてきた。これからは世界規模で木を育てる時代だと思う。

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