谷沢健一のニューアマチュアリズム

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南関東大会へ進出(その3)

2007-05-22 | YBC前進
 成長度NO2は、川村捕手である。名門広島商業時代は正捕手として甲子園に出場し、ベスト4になったほどの逸材だが、帝京大に進んでからは肩を痛めたままの4年間だった。捕手という要の位置に座る選手にはグランド中に響き渡るような発声が必要だが、声量も回数もまだまだ不十分で、控えめな好青年の性格がかえって災いしているきらいがある。
 どのチームの捕手もそうであるように、投手の分まで私に叱られ通しで気の毒だったが、大会直前の2週間あまり、手を傷めて欠場せざるをえなかった。当然、本人は内心でイライラしていただろうが、それを表に現さないので、「川村は休んでいる間、監督から叱られないのでホッとしているんだろう」と選手たちからからかわれていたという。
 しかし、急造捕手・元野キャプテンの評価が悪くなかった、それも刺激になったのか、千葉熱血戦では見違えるようなリードを見せた。また、試合序盤の劣勢をピックオフプレーでピンチを救ってくれもした。これは、毎日新聞には「千葉熱血は……序盤の拙攻が最後まで響いた」と書かれていたが、千葉熱血の拙攻というよりも川村君らの堅守が原因である。
 9回、木藤投手を投入した場面でも、サインに首を振る木藤君に「川村のリードに任せろ!」とベンチから叫んだくらいである。捕手は常に打席の打者だけでなく相手ベンチ・味方ベンチ、守備の8人、走者、次打席サークルの打者などを目で見続けるだけでなく、試合の流れ、作戦の予測を冷静に嚢中(のうちゅう)においておかなければならない。それが少しずつ向上してきているので、今後の成長が大いに楽しみだ。