ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

グラウベル・ローシャ・2~『アントニオ・ダス・モルテス』

2021年02月27日 | 1960年代映画(外国)
昔観たことのある『アントニオ・ダス・モルテス』(グラウベル・ローシャ監督、1969年)を観た。

ブラジル東北部、アラゴアス州の荒涼とした村。
カンガセイロのコイラナ大尉や若い聖女と共に大勢の信者たちは激しく踊り歩く。
カンガセイロを憂慮する警察署長のマトスは殺し屋“アントニオ・ダス・モルテス”を呼び寄せる。

町の地主(コロネル)は盲目でありながら、権力を振るって影響力を与えている。
そのコロネルは、コイラナ大尉が虐げられた民衆を解放しようとしていることに対し、ダス・モルテスに助けを求めなかった。

だがダス・モルテスは、マトスの要請によりコイラナ大尉と決闘し、相手に深手を負わせる。
荒野で聖女と対峙したダス・モルテスは、聖女から、荒野の民だった祖父母、両親、兄弟を己から殺されたと聞く。
それを聞いたダス・モルテスは、許してほしいと聖女にうなだれる。
それを機にして、ダス・モルテスはコロネルに、民衆に食糧を開放してほしいと頼むまでになっていく。

ダス・モルテスが民衆に寄り添うようになると、コロネルは彼を危険視して、マタ・バカを首領とする一団を雇って殺害を命じる。
片やマトスは、コロネルの妻ラウラといい仲であるのを本人にばれてしまい、短剣で、ラウラによって殺されてしまう。

いよいよ、ダス・モルテスはマタ・バカの一団と対決することになり・・・

前回の『黒い神と白い悪魔』(1964年)の、その後の物語である。
だから、カンガセイロのランピオンとかコリスコのことが出てくる。
(カンガセイロ等については前回の記事)

体制側の殺し屋アントニオ・ダス・モルテスが飢えに苦しむ農民たちを間近に見て、次第に民衆の側の考えに立っていく。
そこには、身にしみた汚れを清めて人生をやり直したいという願いが込められている。
そして、神が過去の誤りを正してくれると信じる思いがある。
ダス・モルテスは、自分が捜していた居場所を聖女の中に見る。
それと共に、真の敵は誰かと目覚めてくる。

この映画の作りは独特で、自然の中での荒野の舞台劇のようなイメージを伴う。
人物にしても、例えば、ダス・モルテスが敵としてコイラナ大尉に致命傷を与えて、それ以後何かと付き添ったりしても細かい心理描写はない。
そのような見慣れない感じがなぜか最後まで飽きさせないし、たまらなく痺れる。

その雰囲気をYouTubeから貼り付けておきたい。


そしてコイラナ大尉や若い聖女と共に大勢の信者たちが踊り歩く場面



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