ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

ジュリアン・デュヴィヴィエ・3〜『地の果てを行く』

2017年11月14日 | 戦前・戦中映画(外国)
『地の果てを行く』(ジュリアン・デュヴィヴィエ監督1935年)を観た。

夜明け前、パリの聖バンサン街で殺人事件を犯したピエール・ジリエトは、バルセロナに逃亡してきた。
しかし、バルセロナの酒場で、全財産と身分証明書が入っている財布を盗まれてしまう。
困り果てた彼は、スペイン外人部隊に応募し、そこで同国人のミュロとリュカと知り合う。

入隊合格した彼らは、ほかと一団となって駐屯地モロッコへ渡った。
駐屯地での生活が始まると、なぜか金のあるリュカが、徐々にジリエトに付きまとい出してくる。
ジリエトは、自分の秘密を彼が知っているのではないかと疑い始め・・・

人それぞれ過去の秘め事があっても、無条件に受け入れてくれる外人部隊。
無一文のジリエトが、それこそ新天地のつもりで入った外人部隊なのに、何かと気になるリュカがいる。
物語は、ジリエトのこの気持ちを底辺として、じんわりと外人部隊の様子も明かされていく。

リュカとは部隊を分けてもらい、砂漠の奥地へ転任するジリエト。
そして酒場で知り合った、現地の踊子アイシャと恋に落ちて結婚するジリエト。
この結婚に仲間たちも祝福してくれるが、この地にまたもやリュカのいる部隊がやって来る。

果たして、リュカにとってジリエトは真の殺人犯なのか。
そして、ジリエトからすると、リュカは本当にパリ警察の密偵か。

その真相がわかった時に、原住民の蜂起が起きる。
それを防ぐために24名の決起隊が募られ、荒涼とした丘の上の砦にジリエトもミュロもリュカもたてこもる。
地獄と化した砦で、最後に残ったジリエトとリュカ。
リュカがジリエトに人間としての連帯感を示す。
しかし援軍が来た時に残っていたのは、ただの一人だけであった。

外人部隊を舞台にした映画で、すぐに思い出すのは『モロッコ』(ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督、1930年)と『外人部隊』(ジャック・フェデー監督、1933年)。
それぞれ、作品としての味わいは当然あるが、外人部隊そのものを見た場合、この『地の果てを行く』が一番実感として湧くのではないか。
一応戦争も背景にし、恋愛を絡めたこのような作品を観ると、戦争の悪しさは別としての人間のドラマが鮮明に浮かび上がってくる。
そしてラストの究極の場面での、リュカがジリエトに友情を示す握手。
そのリュカの感情を思い浮かべる時、この作品が時代を超えた秀作のひとつであることに納得する。

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