ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

高校生のころ・3〜「ピンク映画」、そして若松孝二へ

2015年10月01日 | 日本映画
高校に入って暫くたった頃、同級生から「ピンク映画」を観に行こうと誘われた。
学ランで行くのはまずいので、学校帰りにその友人の家に寄って、着替えてから行くことになった。
何か着るものはないかと探してくれ、兄さんのブレザーを貸してくれた。
勝手に拝借するわけだが、それにしても結構大きかった。

いよいよ観れると、はやる気持ちになっていたら、友人が劇場内についてアドバイスをした。
「おじさんが隣りの席に座りに来たら気をつけろよ。触られるかもしれないからな」と言う。
私は”へぇ、そんな男がいるのかな”と、初めて聞く言葉に戸惑いながら、ダブダブの服を着ながら劇場に向かった。
場内に入り、席は各々勝手に適当な所に座ることにした。

「ピンク映画」は物語部分が白黒画面である。
だから、観客はその時はつまらなさそうにジィーとしているけど、画面がカラーになると、とたんに雰囲気が変わる。
生つばを飲み込むような気配になる。いよいよ色事が始まるのである。
しかし、私は友人の言った言葉が気になり、そちらの方に緊張しっぱなしであった。

その後しばらく「ピンク映画」を観なかったが、18から20歳頃はよく観た。
「ピンク映画の黒澤明」と言われた若松孝二監督の作品を観るためである。
当時、若松孝二は学生、若者たちに絶大な人気があって、私もそのうちの一人だった。
新聞の映画欄に「若松孝二特集」と出ていると、行ったこともない場所の映画館だろうと探して観に行った。
勿論、一般の映画館ではなく、ピンク系劇場である。
煙草の煙がモウモウとしている中で、おじさん達に混じって観る。
ピンクでもちょっと味が違うこのような映画を、おじさん達はどう思って観ていたかは知らないけれど、私にはとても面白かった。

そのうちの一本で、よく覚えている題名がある。
『腹貸し女』(1968年)である。今でいう「代理妻」。
内容はほとんど忘れてしまったけれど、当時、他人の女性を使って子供を産ませるという発想が、そんな事が本当にできるかなと思い、
若松孝二の着想は凄いなと感心した。
そういう感想と相まって、若松孝二と言えば、『腹貸し女』という題が今でも出てきてしまう。

この『腹貸し女』の一部がYouTubeにあったので貼り付けみた。雰囲気だけでもわかると思う。


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