原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

アカゲラ、ふたたび!

2009年07月21日 10時09分45秒 | 自然/動植物
六月の初旬に出会って以来、なかなか姿を見ることができなかったアカゲラがようやく現れた。樹木に潜む虫を探していた。よく見ると二羽。どうやら夫婦。頭の紅い帽子のデザインが違う。六月に見た時はメスの方はいなかった。常に一緒にいる夫婦がいないということは、巣をつくっていた証拠。今度は夫婦連れでの食事。ということは、子育ても一段落ということなのだろう。寄り添いながら、何かを語りかけながら食事をしていた。


最初は樹木の根元にとりついた。そして徐々に上へ上へと昇って行く。その夫婦の行動はなかなかに興味深い。会話が聞こえてくるようだ。
「ちょっと、私の前を行かないでよ」
「え!なんで」
「私の分がなくなるでしょ!」
「そうか、悪かったな。裏に回るよ」
万物、すべて女の方が強い。追い立てられるように横にどける夫の姿がいじらしい。
「おい、ここにうまそうな奴がいるぜ」
「ちょっと、早くどいて、それはまず私よ」

いやはや、こんな想像をしてしまうのは、私の不徳か。
いつも一緒に行動するというのは、愛情がより強いとか、夫婦のきずなのせいと思うのは人間の勝手。彼らは生きるために懸命なのである。生き抜くという強い意志が夫婦の絆となっているのだ。人間はいろいろと考えすぎる。愛だの、情だの、プライドだの、金だの、仕事だの、附帯物が多すぎる。懸命に生きることだけ、一生懸命生きるということだけを考えれば、夫婦のあり方も分かりやすい。私の失敗を、野鳥があざ笑うかのように見えたのは、たんなる僻みであろう。


突然、二羽は空中に飛び、森の中へ。その時、別の一羽が後を追う。樹木の上の方に、もう一羽がいたらしい。その姿はかなり小さい。ひょっとすると、今年生まれた子供なのかも。餌の取り方をレクチャーしていたのかもしれない。
野鳥の行動はシンプルだけど、奥があり、理にかなっている。少なくとも、私より。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
♂と♀ (numapy)
2009-07-21 12:35:04
こりゃ比較にならない。
常に♀が上です。x染色体が一個多いのだから、と思えば別に苦じゃない。
しっかし、いろんなものの発想には着いてけませんね。
そういえばBS2で「男脳」と「女脳」の違いをシリーズでやってましたね。面白かった。
返信する
夫婦の会話 (BEM)
2009-07-21 18:50:11
思わずニヤリとしてしまいました(笑)
きっと動物もそんな感じなのでしょうね。
でも動物の中では夫婦で子育てをするのはまだ良い方じゃないでしょうか。
たいてい男(オス)の方はどこかへ行ってるような気がしましたが。
まあ子どもが小さい頃はオスが居てもあまり役に立たないような・・・それは私の事か(^^
返信する
パートナーにレスペクト! (原野人)
2009-07-22 08:43:37
Numapyさんへ。

いくら歳をとっても、理解しがたき存在といえるのかも。というより、理解する能力がオス属には欠けているのかもしれません。我々の脳細胞になかなかフィットしませんね。永遠のミステリーゾーンです。

BEMさんへ。

ここだけの話ですが、この会話は実体験を基にしたプチノンフィクションでもあります。どうか、ご内密に。最近、ウーマンリブなどという言葉は死語になりました。世の中はとっくに政権交代が実現しているということなのですね。
返信する

コメントを投稿