原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

ひがしもこと芝桜公園

2011年05月31日 08時35分10秒 | 地域/北海道

 今年も芝桜が見ごろの季節となった。川湯から道道の網走川湯線(通称芝桜花街道)を二十分も走れば芝桜公園に着く。かつての東藻琴町はいまは合併で大空町となっているが、芝桜公園には東藻琴の名前が残されている。藻琴山の裾野に広がる芝桜の巨大な絨毯は、敷地十ヘクタールに広がる。山の斜面を利用した公園の風景は遠くからでも確認できる。緑の野山に朱色の絵具をまき散らしたかのようにも見え、なかなかに壮観な光景となっている。

昨年も紹介しているが、芝桜の原産地は北アメリカ。桜の花びらに似ているところから、日本では芝桜と呼ばれているが、もともとは桜とは違うもの。ハナシノブ科の多年草。英名はモスフロックスである。外来の植物であることには違いないが、日本の風景になんとなく似合うように思う。

明治の初めに日本に渡来したらしい。日本を訪れたキリスト教の宣教師が各地に持ち歩いたのが広まるきっかけなったといわれている。

この芝桜を東藻琴町で最初に植えたのは、この町出身の中鉢末吉さんであった。たった一人で始めたのである。当時、中鉢さんは58歳。以来、二十年以上の歳月をかけて、丘陵地帯に芝桜を植え続けた。現在は町の管理のもとに芝桜は育成されているが、全敷地の七割は中鉢さん一人の手で植えられたもの。気の遠くなるような年月を経過する中で、いつ完成するとも言えない作業を黙々と続けていた中鉢さんの行為に、ただ敬服するのみである。

中鉢さんは、定着した芝桜公園の人気を確認したかのように、200977日に永眠している。享年91歳であった。

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 昨年から始めたライトアップの期間は、今年は525日から29日まで。すでに夜間の公開はしていない。しかし、芝桜の広大な景観は昼間の方が圧倒的にすばらしい。日本各地に芝桜公園があるが、日本で一番遅くまで観賞できるのは北海道であることは言うまでもない。これからの1~2週間が見ごろとなる。

ひがしもこと芝桜公園の情報は、電話(0152)66-3111へ。


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2 コメント

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壮観! (numapy)
2011-05-31 15:20:16
これもすごい写真ですね。壮観です。
北の春は夏と一緒にやってくる!
今年は例年通りなんでしょうか?少し遅いような気もしますが・・
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ほぼ、去年並みです。 (原野人)
2011-05-31 15:33:34
ただ、昨年は少し遅い状況だったので、例年に比べれば、遅いと言えるかもしれません。
今年で三回目の訪問ですが、はじめてライトアップまでいました。あまり完成された照明ではなかったのが残念ですが。でも、芝桜は明らかに昼間の方がいいと思います。まだ楽しめますよ。
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