やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【国語教材論】25 説明文:「見立てる」(7/7) ~授業の構想~

2012年10月25日 | 教育1 小学校国語教材論

※【国語教材論】シリーズは、小学校国語教科書の「説明文」について、主にその「(主観的)現実度」を検討するもの<参照>。「主観的現実度」とは、その作品の真実性、妥当性・適切性などのこと。前記観点での特化した教材論ですが、関連する「指導」についても考えます。原文(引用)は青字

■説明文2「見立てる」作:野口 廣((小学5年用光村国語教科書p38~39)(7/7最終回)
 教科書を持たない方のために、全文を再掲します。(※原文は縦書き。段落番号、色字化は松永による。)
   見立てる  野口 廣(のぐち ひろし)

(1) わたしたちは、知らず知らずのうちに、「見立てる」という行為をしている。ここでいう「見立てる」とは、あるものを別のものとして見るということである。たがいに関係のない二つを結びつけるとき、そこには想像力が働いている。
(2) あや取りを例に考えてみよう。あや取りでは、一本のひもを輪にして結び、手や指にかける。それを、一人で、ときには二、三人で、取ったりからめたりして形を作る。そして、ひもが作りだした形に名前がつけられる。これが、見立てるということだ。あや取りで作った形と、その名前でよばれている実在するものとが結び付けられたのである。
(3) この場合、同じ形に対してつけられる名前が、地域によってちがうことがある。その土地の自然や人々の生活のしかたなどによって、結び付けられるものがことなるからだ。
(4) 日本でよく知られている写真○1の形は、地域ごとにちがう名前をもっている。「あみ」「田んぼ」「ざる」「たたみ」「かきね」「しょうじ」「油あげ」など、日本各地で名前を集めると、約三十種類にもなる。それぞれの土地の生活と、よりかかわりの深いものに見立てられた結果といえる。
(5) あや取りは、世界各地で行われている。写真○2は、アラスカの西部で「かもめ」とよばれている形である。しかし、カナダでは、同じ形に対し、真ん中にあるトンネルのような部分が家の出入口に見立てられ、「ログハウス」(丸太を組んでつくった家)などという名前がつけられている。
(6) 見立てるという行為は、想像力にささえられている。そして、想像力は、わたしたちをはぐくんでくれた自然や生活と深くかかわっているのだ。
 ※挿絵・写真はここを見てください。

 前回から1ヶ月以上も経ってしまいご迷惑をおかけしてすみませんでした。
 さて、私がこの説明文を使って授業したら、普通の授業にはなりません
 なぜなら、この文章は5年生に与えるにはあまりにも粗雑すぎると考えるからです。その理由は過去記事をどうぞ ⇒     

授業の構想(1) ~丁寧にあつかう場合(=子供たちが一定程度以上に国語学習訓練ができている場合)

1.ねらい・・・この説明文がとても分かりにくい説明文であることを理解させる。
2.展開

(1) 音読・・・「楽しみ読み(集団音読法の一つ)」を使う。
 漢字の読みの学習を含めて、たっぷりと音読させる。(最低でも30分以上、子供が飽きないなら最高2時間ほど)

(2) 発問・・・『筆者は、一言で言えば、読者に何を伝えたいのだと思いますか。」
・教材分析・・・過去記事にある分析により、子供たちの意見についての対応はまず準備ずみだと思います。
・徹底的に討論させる。(※司会・まとめ役は私=教師)

※1 教科の学習の場合、子供の司会ではうまくいきません。なぜなら、討論の司会者はその場のだれよりも「論題」について詳しく知っておかないと、討論の臨機応変の展開もまとめもきちんとできないからです。

※2 教師が充分な準備(=教材研究)なしで司会をすると、ほとんどの場合、子供たちの意見をうまくさばけないでしょう。

※3 所要時間は、1~数時間かかるでしょう。国語学習についてよく訓練してある学級ほど長くかかります、深く、多様に読みとれますから。

※4 過去記事にある仮説(意見)のうち、子供から出ない意見があったら、教師が提出・説明する

・まとめ・・・しっかり討論させれば、「よく分からない」ということになるのではないでしょうか。
      (※当然のことですが、学級:教師により多様な「まとめ」ができることになります。)

(3) 作文・・・全員に、『筆者は「見立てる」という説明文で、読者に何を伝えたかったのか』という題で作文(=論文)を書かせる。
・発表したい子には、自分の作文を音読させるか、教室内に掲示してやる。
・この作文は、子供の個別評価、および「授業評価」を行う資料となる。(※この教材についての「市販テスト」はしない。)


(4) その他
・・・漢字や語句学習などの補いなどがあれば行う。


授業の構想(2) ~1単位時間(45分)で簡単にあつかう場合~

 
音読(楽しみ読み)を20分ほど行い、新出・読み替え漢字と「難語句」の指導をして終わる。
 つまり、もっと良い教材に時間を使うということです。

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