やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【国語教材論】25 説明文:「見立てる」(6) ~主題は不明???~

2012年09月18日 | 教育1 小学校国語教材論

※【国語教材論】シリーズは、小学校国語教科書の「説明文」について、主にその「(主観的)現実度」を検討するもの<参照>。「主観的現実度」とは、その作品の真実性、妥当性・適切性などのこと。前記観点での特化した教材論ですが、関連する「指導」についても考えます。原文(引用)は青字

■説明文2「見立てる」作:野口 廣((小学5年用光村国語教科書p38~39)(6/7)
 教科書を持たない方のために、全文を再掲します。(※原文は縦書き。段落番号、色字化は松永による。)
   見立てる  野口 廣(のぐち ひろし)

(1) わたしたちは、知らず知らずのうちに、「見立てる」という行為をしている。ここでいう「見立てる」とは、あるものを別のものとして見るということである。たがいに関係のない二つを結びつけるとき、そこには想像力が働いている。
(2) あや取りを例に考えてみよう。あや取りでは、一本のひもを輪にして結び、手や指にかける。それを、一人で、ときには二、三人で、取ったりからめたりして形を作る。そして、ひもが作りだした形に名前がつけられる。これが、見立てるということだ。あや取りで作った形と、その名前でよばれている実在するものとが結び付けられたのである。
(3) この場合、同じ形に対してつけられる名前が、地域によってちがうことがある。その土地の自然や人々の生活のしかたなどによって、結び付けられるものがことなるからだ。
(4) 日本でよく知られている写真○1の形は、地域ごとにちがう名前をもっている。「あみ」「田んぼ」「ざる」「たたみ」「かきね」「しょうじ」「油あげ」など、日本各地で名前を集めると、約三十種類にもなる。それぞれの土地の生活と、よりかかわりの深いものに見立てられた結果といえる。
(5) あや取りは、世界各地で行われている。写真○2は、アラスカの西部で「かもめ」とよばれている形である。しかし、カナダでは、同じ形に対し、真ん中にあるトンネルのような部分が家の出入口に見立てられ、「ログハウス」(丸太を組んでつくった家)などという名前がつけられている。
(6) 見立てるという行為は、想像力にささえられている。そして、想像力は、わたしたちをはぐくんでくれた自然や生活と深くかかわっているのだ。
 ※挿絵・写真はここを見てください。

1【現実世界】のなかの、について書かれて(=説明して)あるのか? 
その5


(2) 仮説の検証のまとめ


仮説a.「見立てる」という思考行為について

〔肯定〕題名だし、キーワードとして、この短文中に6回も使われているから。
〔否定〕文章構成:論理構成が不自然=思考行為という、眼に見えず、分かりにくい主題なのに、説明・例示が一例しかない。<参照:22 23 24> 
〔結論〕成り立ちにくい。
 疑問 著者は「あや取り」のことを書きたかったのに、《なんらかの理由で「想像力」についてまで題材を広げざるをえなくなった》説明文なのでは? 

仮説b.「想像力」という、思考力の一種について

〔肯定〕キーワードとして3回も使われ、もっとも大事な「最終段落」の「最後の文」は「想像力」についての説明だから。
〔否定〕仮説aと同じ理由。 
〔結論〕成り立たない

仮説c.「あや取りの名前のつけられ方」という現象について

〔肯定〕全部で6つの形式段落のうち、4つもの段落がその説明だから。
〔否定〕もしそうなら、第(1)・(6)段落はいらない。 
〔結論〕成り立たない

仮説d.
「見立てるという行為」と「想像力」と「自然や生活」の関係について

〔否定〕これは半分冗談で考えたような苦肉の仮説。この主題を5年生に「科学的に」説明するにはもっともっとたくさんのページがいるでしょう。


(3) 1の結論  

 何が主題:主材なのか、どう考えてもはっきり分かりません。(※「随筆」ではなく、「科学的説明文」として読んだ場合)

※当初の予定では、《
1:何について書いてあるか》を追及したあと、《2:それは「事実」か(※真実性)》、《3:その言語表現は妥当・適切か》、《4:<おまけ>自分なら「この教材」を使ってどんな授業をするか》について考えるはずでした。
 しかし、1が確定しないので、2・3には進めません。
 ただし、1を追及する過程で、「内容の真実性」と「表現の妥当性」についていくらかは考えられたと思います。

~次回は最終回、簡単な授業案~

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