楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

関心の行方。

2008-05-08 22:27:18 | 散歩。
久しぶりに神保町の駅で下車した。特に予定はなく大型連休の最終日が快晴だから行楽を味わいたいだけ。どこに行っても混んでいるだろうから、都心で美味しいビールでも飲むのがきっと自分の想像している行楽に近いはず。神保町の商店街の閉まったシャッターに嫌な予感を抱きながら向かったランチョンの休業の札を見て「やはり」と思いつつ、どこに行こうか悩む。エチオピアのカレーも、その近くにあるというメキシコ料理も美味しいとは聞いてはいたものの、自分の想像する行楽ではない。このまま歩いて須田町というのも悪くないけど、混雑を想像すると二の足を踏む。どこに行こうかとボンヤリと思いつつ目の前のディスクユニオンに入って昼飯のことを考えながらレコードを眺める。レアなレコードに執着もないけれど、気になった盤を手にとって眺めては、結局、身に付かないような気がして、また元の場所に戻した。そうやって手にとっては戻すのを何度か繰り返してから店の外に出た。
道の反対側に山の上ホテルの看板が見えた。その看板に誘われるようにして坂の木陰を上っていく。何となく自分の想像していた行楽の気分、このまま昼食を取るのが相応しいように思えてきたから、躊躇することなく天ぷら山の上の扉を引いた。本当ならば寄り道をせずに、池波正太郎のエッセイの通りに神保町から錦華公園を回ってくるルートの方が気分だったかもしれないと思いながらカウンターに座った。ビールを飲みながら突き出しの雑魚山椒をつまんでいると、かき揚げ天丼がやってきた。隣席の天ぷらコースにコシアブラがあるのを気にしながらも、ゆっくりと箸をとった。思い描いていた行楽に辿り着いたと満足しながら、さっき手に取った天丼とほぼ同じ値段のレコードのことを思い出しながら、もしかしたら理想的な昼食をゆっくり食べることの方が、今の自分には得られるものがあるような気になってきた。
レコードのことだけを考えているのが、とても大事に思えていた時期を過ぎたことに気付くことがある。先日、同じように思うように買いたいものに出会えずに家に帰る道すがら出光美術館のポスターが目に入った。色鍋島も気になるけれど、その隣のルオー展のポスターに目が留まる。今まで気にもしたことがなかったけれど、とても気になる。どうして今まで気付かなかったのだろうと思えたけれど、そういった事物に気付けるようになったのを素直に喜ぼう。早く6月にならないかと思ったが、まだ見ていない展覧会がいくつもあることに気付いた。そういった点は全く成長していない。

 ※ 画像は出光美術館からの引用です。

最新の画像もっと見る