楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

鳥取の窯。

2008-04-22 01:03:05 | 散歩。
鳥取の駅前の喫茶店でボンヤリとコーヒーを飲んでいるとバスの時間が迫っていることに気付いた。駅から近いたくみ割烹店まで行き、弁当を受け取って中井窯への連絡をお願いした。乗り込んだバスは小さな街を抜けて川に沿って進む。降りたバス停の周りには窯らしきものが見えない。そばの床屋に首だけ突っ込んで尋ねると親切に説明してくれた。もと来た道を少し戻ると登り窯の煙突らしきものが目に入った。大きな赤い屋根の家に向かう坂を躊躇せずに下るが、人の姿が見えないので少しだけ不安になってきた。目に入るのは整然と整頓された作業場と窯、手入れの行き届いた池の鯉だけ。果たしてどのような連絡がいっているのか、わからないまま他所の敷地にいるというのは、どうにも所在無い。
漸く家の方らしい人影を見つけて話をすると入り口へ案内してくれた。どこを見ても整然としている。黒い象足のスツールが置かれた玄関を入ると陳列棚にやはり整然と器が並んでいた。中井窯の作品は、所謂民芸品という感じがしない、とてもすっきりとした印象の器。沢山並んではいないけれども、どれも良いので選ぶのに悩む。買って帰るには限界があるのだし、もし買って帰ったとしても収納する場所がないのもわかっているから余計に悩む。そんな理由で悩んでいるのがわかったのかどうかは定かでないが、近くに別の窯があるから見てくると良いという勧めに従って、牛ノ戸焼の窯に向かった。大量の薪が並んだ煙突の見える家に向かって坂を登る。中井窯のような整然さはないけれども、民器を作っているという感じの作業場に通された。薄暗い作業場に並ぶ沢山の器の中から2点ほど選び、会計をお願いすると無口そうだった主人らしき人が話を始めた。近隣の陶芸の話から、民藝の話、あまり明るい話題は多くなかったけれども、最近、手を加えたという登り窯を案内しながら「自己満足かもしれないけれど、手をかけるのが結局好きなのだろうな」と楽しそうに話しながら、我々を写真に収めてくれた。
窯を後にして坂を下りていくと満開の山桜が目に入った。桜を見ながら川べりで弁当を開く。ご飯の上一面にしょうがとらっきょうの薄切りが並び、その上に牛肉の時雨煮がのった弁当、旨い。そうして昼飯をボンヤリと楽しんでいるとバスの時間が迫っていることに気付いた。まだ中井窯で買いたいものが絞りきれていないし、バタフライスツールが驚くほどピタリと調和していた土間から上がった部屋ももう一度見せてもらいたいと思いながら、もと来た道を少し早足で歩き始めた。さて、何を買おう。

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