タケ・タケ・エヴリバディ!

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「火の鳥」乱世編・羽衣編

2024年01月12日 | 読みました!見ました!

シリーズで読み始めた手塚治虫の「火の鳥」も、7巻・8巻まできました。今日紹介するのは、昨日読了した「乱世編」と「羽衣編」です。

「乱世編」の歴史的な舞台は、「源平の戦い」から「平氏の滅亡」までの頃です。この作品では、火の鳥そのものは人々の夢の中にしか登場せず、実際にいるかどうかもわからない火焔鳥の幻にまどわされる人間たちの姿で表現しています。火の鳥を捉えて永遠の命を手に入れようとする権力者として、平清盛が登場します。ストーリーはこんな感じです。


マタギの弁太は、さらわれた許嫁のおぶうを追って、京の都に出てきた。弁太は、そこで牛若という少年に出会い、家来になる。一方、おぶうは時の権力者・平清盛に仕えていた。平清盛は、永遠の命を求めて火の鳥を探していたが、結局死んでしまう。

やがて都は、権力をめぐる戦乱の中に巻きこまれ、騒然とした世の中になる。牛若は成長して義経と名を改め、平家のライバル・源氏の大将として活躍し、弁太はそれに従う。


7巻と8巻の2巻にわたって描かれるこの「乱世編」は、今までの「火の鳥」シリーズの中ではもっとも長い手塚作品になります。時代的には「鳳凰編」に続く時代の物語ということになり、ボクはNHK大河ドラマの「鎌倉殿」を思い出しながら読み進めました。そしてこの「乱世編」では、「鳳凰編」のラストで山奥へと消えた我王(猿田彦)のその後が描かれています。まぁやっぱり「火の鳥」には猿田彦が必要ですよね。

続いて「羽衣編」です。

これは日本に古くから伝わる「羽衣伝説」を元にした作品で、1話読み切りの短編です。この作品は、全編が舞台で演じられるお芝居を客席から見たようなアングルで描かれた実験的なもので、「乱世編」より70〜80年ほど前の時代のお話です。内容は、ボクらもよく知っている「羽衣伝説」をモチーフにしたものです。


猟師のズクは家の前にある松の木に掛けられた薄い衣を見つけ、それを売って金を得ようとする。そこへ衣の持ち主である女性「おとき」が現れ、その布は自分のものなので返して欲しいと言う。

ズクは3年一緒にいたら返してやるといい、ズクとおときは3年いっしょに暮らすうちに2人の間には子供ができる。しかし、実はおときは未来からやってきた女性で、この時代の人間との間に赤ん坊ができたことで「タイムパラドックス」になってしまう。なのでおときは、存在してはならない我が子を殺そうとするが、やっぱり殺すことができず我が子を連れて未来へ戻っていく…というストーリー。


こんな感じで「羽衣編」のすべてのコマが、能か歌舞伎の舞台のようなアングルで描かれています。自身のライフワークである「火の鳥」に、こんな実験的な作風を入れてくるんですから、手塚治虫という作家は本当にすごいです。

実はこの「羽衣編」は、手塚治虫が2度も描き直して発表されているんだそうですね。当初の作品では赤ちゃんが放射能に被爆して誕生したストーリーだったのですが、「内容の中心がもっぱら核戦争の犠牲者を中心にした反戦テーマで、中に放射線障害を扱った部分が強烈に出てくるからです。ご存じのとおりこういったテーマはおろそかには扱えないのです」と手塚治虫自身が語っている理由で、描き直されたということです。

1500年先の未来からタイムスリップして来たと自ら語る「おとき」は、これから何巻か先の物語で登場させることを想定して手塚治虫はこの「羽衣編」を描いたのでしょう。はたしてこの伏線が回収されるのか?そのあたりも、これから「火の鳥」の続編を読む楽しみになってきますね。では、続きはまた

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