タケ・タケ・エヴリバディ!

当ブログは「竹と生きる・竹を生かす」をメインテーマに、管理人の田舎暮らしの様子をお届けします。

「火の鳥」異形編・生命編

2024年01月14日 | 読みました!見ました!

手塚治虫の「火の鳥」も、ついに9巻まできました。9巻は「異形編」と「生命編」の2編が収録されています。

「異形編」、覚えていました。この「異形編」を最初に読んだのは、今からもう50年近くも前のことだと思いますが、読み進めるにつれて初めて読んだ時の記憶が蘇ってきました。 歳をとらない八百比丘尼(はっぴゃくびくに)の秘密、妖怪や鬼の命をも救う八百比丘尼…。読み進めながら当時の記憶が間違いなく蘇りました。そうだ、そうだ。そうだった。


7世紀末の日本。残忍な領主・八儀家正の娘に生まれた左近介は、男として育てられた。ある嵐の夜、左近介は従者の可平とともに、蓬莱寺の八百比丘尼という尼を殺しに出かける。その理由は、重い病にかかっている父が、どんな病でも癒すと評判の八百比丘尼に治療を頼んだからだ。

父から男として生きることを強制されていた左近介は、父を憎んでいた。そして父が死ななければ、自分は女に戻ることができないと考えた。そして左近介は八百比丘尼を殺したが、そのあと城に戻ろうとすると、不思議な力が働いて寺に戻されてしまう。寺の周りには見えない壁があるようで、どうしても寺を出られないのだ。

そこに、村人が病気を癒してもらおうとやってきた。左近介は八百比丘尼に変装し、本尊の中にあった光る羽根を使って病人たちを癒した。実は、この寺は時の閉ざされた世界であり、八百比丘尼は、未来の左近介自身だったのだ。


いやぁ~。すごい。記憶が蘇りました。八百比丘尼の不死の秘密が、50年近く経った今もボクの脳裏で蘇りましたよ。すごいなぁ。手塚治虫、すごいです。生命を軽んじた罰として、永遠に生き物たちの命を救う宿命を背負わされた人間の姿。それが八百比丘尼であり、左近介だったのですよ。

「輪廻転生(りんねてんしょう)」の思想をベースに、最も重い罪として、永遠に死ぬことのできない宿命を背負わされた人間の姿が、「火の鳥」ではしばしば登場します。「宇宙編」の牧村に続き、「異形編」の八百比丘尼もこれにあたります。

そうそう。今回の「異形編」で、猿田彦は「残忍な領主・八儀家正」として登場します。左近介の父親です。まぁ今回は、ちょっと存在感は薄かったですけどね。

さて、続いて「生命編」です。「生命編」は「クローン人間」を扱い、医学博士としての手塚治虫の知識や思想が反映された作品だと思います。また、「視聴率を上げるためには何でもやる」という現代にも通じるマスコミの姿勢に、手塚治虫が一石を投じた作品であるとも言えます。なかなか深いですね。


視聴率競争に追われるテレビプロデューサーの青居は、番組の人気回復のために、クローン人間をつくってハンターに殺させるという企画を考えて、アンデス山中のクローン研究所を訪れた。そこで青居は、研究員の猿田とともに、クローン人間の秘密を知るインカの精霊の「鳥」と出会うが、そこで青居自身のクローン人間をつくられてしまう。

それは、欲のために生命をもてあそぼうとした青居に対して鳥が与えた罰だったのだ。


この「生命編」で衝撃を受けたのは、インカの古い遺跡で、「火の鳥」が「鳥」としてその姿を現したことです。

この神々しい生命体としての「鳥」の姿は、おそらく「火の鳥」シリーズ全体の中で、初登場だと思います。謎のインカ文明と「火の鳥」を結びつけ、物語全体に壮大なスケールを持ち込んだこの「生命編」。解説によると、手塚治虫は終末の部分を何度か書き直して発表しているんだそうですね。

この「生命編」での猿田彦は、アンデス山中のクローン研究所で青居を「鳥」のところに案内する研究員の猿田として登場しています。わずかな登場場面ですが、やっぱり「火の鳥」に猿田彦が登場するのは楽しみですね。

ボクの「『火の鳥』読破への道」はもう少し続きます。

コメント
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