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「半分空室」のミッド new
タウン八重洲 連載 9
渋谷復活傾向
八重洲エリアから視野を広
げると、竣工まで残り1年
を切るビルは複数あるが、
テナント内定状況には濃淡
が出始めている。引き合い
が強いのは渋谷だ。東急不
動産が進める「渋谷駅桜丘
口地区(A1街区)」では、
スクウェア・エニックスH
Dが東新宿から本社移転を
検討しているようだ。上層
フロアでは、近隣のビルに
本社を構えるグーグル日本
法人が増床をめぐって交渉
を進めているとみられる。
コロナ禍当初こそオフィス
空室が急増した渋谷だった
が、その後は徐々にテナン
トが回帰している。
(次回に続く)
「半分空室」のミッド
タウン八重洲 連載 8
についてはいっそうの波乱
が予想される。都心部にお
ける新築オフィスビルの供
給量は2022年の約 8万坪に
対して、2023年は 23 万坪
超が計画されているためだ。
(次回に続く)
「半分空室」のミッド
タウン八重洲 連載 7
賃料を譲歩できない事情
そんな状況でも、三井不に
はおいそれと賃料を譲歩で
きない事情がある。ミッド
タウン八重洲のテナント誘
致が、オフィス街としての
八重洲の帰趨(きすう)を
決するためだ。ミッドタウ
ン八重洲の北側では、大手
デベロッパーの東京建物が
2025年度に竣工予定の51
階建てビルを建設中だ。南
側でも2028年度に同じく三
井不が鹿島建設や住友不動
産などと43階建てビルの竣
工を計画。初弾であるミッ
ドタウン八重洲が安い賃料
で成約してしまうと、それ
が八重洲オフィスの相場を
形成し、後続のプロジェク
トも引きずられてしまう。
(次回に続く)
「半分空室」のミッド
タウン八重洲 連載 6
東京駅北側も@4万円台
ミッドタウン八重洲の近く、
東京駅北側で2021年6月に
竣工した三菱地所の40階建
てビル「常盤橋タワー」も、
小規模区画を除けば坪 4 万
円台での成約が中心だ。テ
ナントは竣工時点で 8 割を
確保したが、東京海上 HD
や長瀬産業など、本社(本
店)ビルの建て替えに伴う
仮移転先として常盤橋タワ
ーが受け皿となったことが
奏功した。
(次回に続く)
「半分空室」のミッド
タウン八重洲 連載 5
苦戦の要因賃料水準
苦戦の要因は賃料水準にも
ありそうだ。複数のオフィ
ス仲介会社によれば、ミッ
ドタウン八重洲の募集賃料
は坪単価で 5 万円前半から
中盤。東京駅を挟んで西側
の丸の内や大手町と並び、
国内のオフィスビルとして
は最高峰だ。だが、大手町
や丸の内ではビルオーナー
の譲歩が始まっており、「
今や坪5万円以上で成約し
ているビルは見当たらない
」(都内のオフィス仲介会
社)。
(次回に続く)
「半分空室」のミッド
タウン八重洲 連載 4
仲介応援要請
友生命や三井化学、ダイキ
ン工業といった大手企業の
本社(東京支社)移転が決
まっているが、貸床面積の
満床にはほど遠い。これま
でテナント営業は原則、三
井不自ら行っていたが、 2
022 年に入ってからは外部
のオフィス仲介会社にも応
援を要請している。
(次回に続く)
「半分空室」のミッド
タウン八重洲 連載 3
コロナ化で逆回転
コロナ禍以前、オフィスビ
ル業界は”我が世の春”を謳
歌していた。好調な業績や
働き方改革の潮流を受け、
オフィスの増床や拡張移転
に踏み切る企業が増加。都
心部のオフィスビルは空室
が逼迫し、新築ビルは竣工
前に満室となることも珍し
くなかった。逆回転は2020
年春、新型コロナウイルス
の感染拡大とともに訪れた。
外出自粛でテレワークが普
及するやいなや、今度は不
要になったオフィスの返却
や縮小移転に踏み切る企業
が相次いだ。
(次回に続く)
「半分空室」のミッド
タウン八重洲 連載 2
8月竣工、内定5割
ところが、東京駅前という
一等地にもかかわらず、テ
ナント誘致の進捗は芳しく
ないようだ。東洋経済の取
材によれば、3.7 万坪(12
万2000平方メートル)と推
定されるオフィス賃貸面積
のうち、記事執筆の 5 月中
旬時点でテナントが内定し
ているのは4~5割。2022年
8 月の竣工を前に苦戦する
旗艦ビルの姿は、この 2 年
間で急変したオフィス市況
を象徴する。
(次回に続く)
「半分空室」のミッド
タウン八重洲 新連載 Ⅰ
一等地にもかかわらず、テ
ナント誘致の進捗は芳しく
ない様子の「ミッドタウン
八重洲」。オフィスビル市
況は 2023 年以降、いっそ
う波乱含みに。
東京駅の東側一帯の地域「
八重洲」。駅舎の目と鼻の
先で、三井不動産のオフィ
スビル「東京ミッドタウン
八重洲」(A-1街区)の建
設が大詰めを迎えている。
地上45階建ての超高層ビ
ルは六本木、日比谷に次ぐ
「ミッドタウン」の名を冠
し、三井不にとってのフラ
ッグシップ物件となる。
一井 純 東経記者
(今回新連載です)
キリン1缶270円 new
復活の行方 最終回 14
二兎を追う戦略、賭けか
これまでビール業界は大瓶
の販売箱数を追求してきた。
しかし同じ1箱でも商品によ
って売り上げや利益といっ
た金額は異なるはず。至極
当然の指摘だが、堀口社長
によると、社員の意識を金
額重視に変えていくのは「
意外とそう簡単ではなく、
実は大きな課題」であると
いう。キリンHD全体にと
って、ビール事業はいまな
お重要な利益の源泉だ。前
任のキリンビバレッジでは
収益構造改革で結果を出し
ただけに、堀口社長はキリ
ンビールでも同様の成果が
期待されている。だが、大
きな市場変化を前に二兎を
追う戦略は賭けにもみえる。
(今回最終回です)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 13
箱の文化から脱出
ただ、堀口体制となった後
に開かれた説明会の資料で
は、「本麒麟」の露出が減
り「スプリングバレー」に
置き換わった。この変化か
ら、ビール事業の収益向上
を達成するための堀口社長
の戦略が見て取れる。堀口
社長の言葉を借りると「箱
の文化」からの脱却だ。「
箱は量を測る単位であるの
に対し、金額は価値を計る
単位。これからは量ではな
く価値を売っていかないと
いけない」(堀口社長)
(次回最終回です)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 12
キリン選択と集中を踏襲
4 月13日、2021 年9月に急
逝した布施孝之前キリンビ
ール社長のお別れの会が、
東京・築地本願寺で行われ
た。会場では布施氏の生前
の写真が並べられ、メディ
アでのインタビュー映像な
どが流されていた。入社時
から一貫して営業畑を歩み、
現場の社員だけでなく取引
先からも慕われてきたこと
がうかがえた。布施氏は近
年、主力品を「一番搾り」
と「本麒麟」の2ブランド
に絞り込んだマーケティン
グを行ってきた。今年1月、
その後を継いだのがキリン
ビバレッジ社長だった堀口
社長だ。キリンビールでは
布施氏の進めてきた「選択
と集中」の基本戦略を踏襲
する。
(次回に続く)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 11
アサヒビールに集中
酒税改正のマイナス影響は
キリンより少ない。数量は
開示していないが、ビール
類の中でキリンと比べて新
ジャンルなどの比率が小さ
く、ビールの比率が高いか
らだ。アサヒが追い風の吹
くビールに投資を集中させ
る一方、キリンは新ジャン
ルへの投資も続けざるをえ
ない。ビールでは強敵が攻
勢を強め新ジャンルでは逆
風が吹く。その中でキリン
は二兎を追う格好になって
いる。
(次回に続く)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 10
ライバルアサヒは
最大のライバルであるアサ
ヒの動向も気になる。2020
年にキリンにビール類首位
の座を奪われたアサヒは、
2022年を絶好のチャンスと
捉え、同社史上最大規模の
広告投資を行うと宣言。36
年目で初となるリニューア
ルを行った「スーパードラ
イ」や新商品の「マルエフ
」に投資を集中させる。
(次回に続く)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 9
二面作戦
キリンは「スプリングバレ
ー」などでビールを強化す
る反面、新ジャンルの維持
も図る考えだ。ビール類市
場全体に占める新ジャンル
の数量が大きいことを理由
に、堀口社長は二正面作戦
を進める。2022年の新ジャ
ンル市場はマイナス 3%程
度と縮小する見通し。キリ
ンはその中でも年初に新ジ
ャンルの販売数量を1%増と
する強気の目標を掲げてい
る。だが、その達成は容易
ではない。キリンの新ジャ
ンルで最も大きいブランド
は「のどごし」だ。ピーク
の2011年には約4800万ケー
スを販売する大ブランドだ
ったが、2021年には2190万
ケースまで落ち込んだ。「
のどごし」で続く減少を「
本麒麟」の回復で補えるか
が勝負となる。
(次回に続く)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 8
キリンにとってこの流れは
厳しい。「1回の酒税改正
でここまで新ジャンルが落
ちたことを考えると、消費
者にとって新ジャンルの魅
力は今後かなり落ちる可能
性がある」。そう指摘する
のは、三菱UFJモルガン・
スタンレー証券の角山智信
アナリストだ。加えて「キ
リンの弱みになっている」
(角山氏)のは、ビール
事業において家庭用ビール、
特に新ジャンルの構成比が
高い点だ。2021年は約560
0万ケースを売り上げた。
それに対して「一番搾り」
を中心とするビールは約3
800万ケース。新ジャンル
はキリンのビール事業の
屋台骨なのだ。
(次回に続く)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 7
ビールに戻る
新ジャンルを飲んでいた消
費者は、ビールに移ったよ
うだ。2021年の業績をみる
と、キリンでは「一番搾り」
の缶商品が前年比6%増と、
20年ぶりの伸び率だった。
アサヒも「スーパードライ」
など缶商品が前年比 11%増
となり、9年ぶりに前年を上
回った。酒税改正は2023年、
2026年とまだ2回ある。202
6年にはビール、発泡酒、新
ジャンルの酒税率が統一さ
れ、3つの区分はなくなる。
この過程でビールと新ジャ
ンルの価格差はさらに縮ま
る。
(次回に続く)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 6
原因は酒税改正にある。20
26年まで 3 回にわたって予
定されている酒税改正の 1
回目が2020年10月に行われ
た。ビールは約 7 円酒税が
下がり、新ジャンルでは約
10円引き上げられた。この
酒税引き上げ分を各社が販
売価格に反映させた結果、
ビールと新ジャンルの価格
差が縮まった。「ビールと
の価格差は依然として残る
ので、ここまで大きなイン
パクトはないと思っていた
」。キリンホールディング
スの磯崎功典社長は、新ジ
ャンルの失速に驚きを隠さ
ない。
(次回に続く)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 5
停滞感
キリンの新ジャンル商品と
いえば、2018年に投入した
「本麒麟」。ビール業界に
おいてヒットの目安となる
1000万ケースを10カ月で売
り切った大ヒット商品も、
失速を免れなかった。2020
年には約2000万ケースを売
り上げたが、2021年の販売
数量は約1800万ケースに減
少したとみられる。年初に
掲げた目標の「前年比 1 割
増」は達成できなかった。
2022年は約2070万ケースと
持ち直す計画だが、停滞感
は否めない。
(次回に続く)
キリン1缶270円
復活の行方 連載 4
新ジャンルの落ち込み
「おいしいと感じる商品で
あれば、その価値を認めて
対価を払うという土壌が消
費者にできてきた」。堀口
社長は高価格であっても消
費者の心をつかめると自信
をみせる。国内ビール類市
場は2005年から17年連続で
縮小しているが、「スプリ
ングバレー」を呼び水に盛
り返したい考えだ。だが、
キリンが「スプリングバレ
ー」に力を入れる理由はほ
かにもある。新ジャンルの
予想外の失速だ。節約志向
を強める消費者から根強い
支持を受けてきたが、2021
年のキリンの新ジャンル販
売数量は市場全体と同様に、
前年比で約11%落ち込んだ。
(次回に続く)