令和3年2月4日(木)
絵 踏 : 踏 絵、ゑぶみ
初春の季題に「絵踏」という季語がある。
江戸時代、禁制のキリシタンでないことの証拠に
十字架に架けられたキリストを描いた絵像を、一般
の人々に裸足で踏ませた行事。役人が立ち合い、踏
まない者をキリシタンと判定して処刑した。
その絵が踏み絵である。
踏絵は始め紙に描かれたものが用いられたが、やがて
木の板に描いたもの、更に銅板に彫られたものとなる。
江戸時代の陰暦4日頃から、長崎、大村、平戸等を中
心に、その他九州の各地で2,3月頃まで行われた。
長崎では、陰暦の1月4日から8日迄となって居り、
最終日には着飾った丸山の遊女達の踏絵が行われて、
大勢の見物客が集まった。
長崎では寛永5年(1628年)に始まり、安政5年
(1858年)に終わった。踏絵が全面的に廃止され
たのは明治4年(1872年)の事である。
夏井いつきさんの著書「絶滅寸前季語辞典」に「絵踏」
の記述が在ったので紹介したい。
絵 踏
「絵踏」は今の時代であれば、宗教問題、人権問題とか、
ごちゃまぜに勃発しそうな、危険な行事である。当時の
長崎では1月4日から8日迄に実施すると、決められて
いたらしく、最終的には着飾った遊女達の絵踏が行われ
るため、多くの見物人が集まったというのだから、ビッ
クリ仰天。根っから宗教心というものが無いので、己を
基準に語るのは大きな間違いかも知れないが、何でこん
な検査をされて、「いえ、絶対に踏めません」と潔癖に
拒絶する必要が在るのだろう。ちょいと踏んで済む事な
ら踏めばいいじゃないか。そんなものを踏んじゃったか
らといってバチを当ててやる等と言い張る様なら、最初
から信じないこっちゃ。 親しいクリスチャンの友達に
「、、だからね、神様が本当にバチを当てるかどうか、
ちょいと踏んで試してみれば良かったんだよ」」と意気
揚々と語ったら、彼女は直ぐにうつむき静かに強い声で
こう、祈ってくれた。
「神よ、こんな彼女ですが心根は決して悪い人ではあり
ません。でも、心身ともに頑丈に出来てますから、心お
きなく罰して下さって結構です、アーメン」
おいおいアンタそれでも本物のクリスチャンかい!?」
(夏井いつき著:絶滅寸前季語辞典・絵踏より引用)
今日の1句(俳人の名句)
その足の絵を踏みたればどよめきぬ 夏井いつき