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 私の思いと技術的覚え書き

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B787の機体結合部に問題・一部運用中止

2020-08-31 | コラム
 B787は米ボーイング社の最新性ジェット旅客機だ。その機体の胴体結合部に問題が見つかったという気がかりに感じる報だ。

 そもそもB787は胴体主要部に大幅に炭素繊維複合材が大規模に採用された初めての機体だ。その胴体を構成する複数以上のユニットコンストラクションは、我が国の中部地域の三菱重工、川崎重工などの工場で製造され、中部国際空港から米シアトルのボーイング工場に空路輸送され組立られている。記事からは「胴体結合部に」と記されているので我が国側の製造品質に問題があったとは思えないが、そもそも設計段階における応力もしくは耐力計算に大きな見込み違いがあったのではないかなどと、航空機には素人ながら想像を持ってしまう。

 そもそも、炭素繊維複合材については、従来のアルミ材よりスペック上の比強度は向上するというものの、経時変化による樹脂の脆化など、さまざまな加速度経時試験を繰り返して来たのだろうが、実運用での実証という面ではいささか不安がよぎるところだ。

 特に応力だとか気体温度の繰り返し上下変化により、樹脂に含混されたカーボン繊維が内部で剥離したり、樹脂にマイクロクラックという微細な亀裂が生じる場合があると聞く。特に、胴体のユニット間を結合するフランジ部には応力が集中するだろうし、この辺りに設計時に経時変化による耐力低下の見込み間違いがあったとしたら、最悪の場合改修困難という事態だってあるのではないだろうか。

 それでなくとも、今次病変により新造機の発注は大幅に減速しており、今回の事態が極めて深刻な設計に起因する様な事態で、製造中止にでもなったら、B787の機体の数十%を担うため、大規模な設備投資をしてきた我が国の航空機サプライヤーに深刻な影響を与える気がかりな報だろう。

 この報は、三菱、川重、スバル、東レ、小糸、神戸製鋼、島津製、ブリジストン、ジャムコ、ナブテスコなどなど、関わる日本サプライヤー企業群は注目しているのではないだろうか。


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787機胴体に不具合、8機の運用停止 米ボーイング
8/30(日) 17:07配信 CNN.co.jp
米ボーイング社は、787型旅客機の胴体の結合部分に問題点が見つかったことを明らかにした。8機の運用が中止され、点検や修理が実施されるという

ニューヨーク(CNN Business) 米ボーイング社は30日までに、787型旅客機の胴体の結合部分に明瞭な問題点が見つかり、8機の運用が中止され、点検や修理が実施される予定だとの声明を発表した。

問題点は同型機の一部の後部胴体部分で判明し、設計基準に満たない状態を招いているとし、根本的な原因を解明するための徹底的な調査を進めているとした。

航空ニュース専門サイトは運用停止となる8機を保有するのは米ユナイテッド航空、エア・カナダにシンガポール航空と伝えた。

ユナイテッド、シンガポール両航空の報道担当者はそれぞれ1機ずつ保有していることを確認。その上で今回の欠陥が判明した際、運航に投入されていなかったとも説明した。

米連邦航空局(FAA)は787型機の今回の問題点は承知しており、ボーイング社と接触を続けていると指摘。しかし、問題点を踏まえた安全運航通知を出すかどうかについては言及しなかった。

787型旅客機はボーイング社が強味を持つ広胴機の市場で人気の機材で、軽量の機体素材や燃費効率の良さを誇る。2013年にはリチウムイオン電池を使ったバッテリーで出火事故が起き運航停止を強いられたが、これ以降、大きな問題は浮上していなかった。

ボーイングは新型コロナウイルスによる航空需要の下落を受け、787型機の生産の減速を発表。コスト削減などで2つの生産工場のうち1カ所の閉鎖の検討も明らかにしていた。

同社は稼ぎ頭の737MAX型旅客機が2度の墜落事故を起こしたことなどで経営苦境に直面している。同型機の運航再開の承認を米連邦航空局(FAA)などに求め、結論を待っている段階ともなっている。

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