保険会社、取り分けその子損調会社社員が行う示談行為が非弁法に抵触する恐れの多いことは、従前から関係者には良く知られたことです。それにも関わらず、何ら対策も講じず、問題が生じた際は話が大きくならない様に火消しをしつつ、何十年も過ごして来たのが損害保険業界の実態です。これで、我が社はコンプライアンスを第一義にしていますと宣うのですから、どこからの元総理じゃないですけど「笑っちゃうよ」と云うことです。
しかし、保険会社本体も、今更ですが、問題が大きくならない内にということでしょうが、損調子会社での示談を止め、本体所属者が行う様に切り替える会社が、大手社を中心に出てきている様です。
この様な、損調子会社における非弁法絡みの問題は、約10年位以前に、人身事故の示談で問題になりました。人身事故の示談では、日弁連協定(まったく意味ないことですが)もありませんし、多くの保険会社で危機感を生じた故のことでしょう。それまでは、損調子会社において、技術アジャスターに対する一般アジャスターという資格を設けて、主に人身事故の示談を担当させていたのですが、一般アジャスターという資格は多くの保険会社で廃止されました。そして、従来の一般アジャスターとしての示談担当者は、保険会社本体に所属する人身主査という形態で業務を継続しているのが現状なのです。但し、ここにも姑息なことをする多くの保険会社があり、形式上は保険会社本体所属ですが、実態は損調子会社に席があり、保険会社本体に出向しているというとことも結構あるのではないかと思います。
ですから、今後物損事故の示談を担当することになる元アジャスターなる者も、同様に保険会社本体に出向扱いでの業務を強いられる会社もあるのかもしれません。
ところで、この様な動きが出て来た中、従来同様の業務を続けている会社は未だ多いのだと思いますが、非弁法の問題を直ちにクリアーするのは難しいでしょうから、万一ことが生じた際の該当個人が不利益を被らない予防策を講じておく必用が望まれると思います。その交渉者は労働組合となるのでしょうが、現状は空気みたいな存在感がなく、交渉力は皆無ですから無理なことでしょう。
この問題は、私的には、保険会社および損調子会社において、取り分け該当車両の損害調査を担当した者が最終の示談までを行うことは理に適ったことであり、契約者や対する被害者の意を汲めやすい社会正義に反しないことであると思っています。そんなことから、現行非弁法では、適用除外条項等で、保険会社およびその子会社を入れる様改訂できれば最良の解決だと思うのです。