私の思いと技術的覚え書き

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モノコックボデーのボデーワークのこと

2011-02-24 | 技術系情報
 クルマ用モノコックボデーについては、過去にも何度か記してきました。これらは、純粋なモノコック(応力外皮構造)でなく、あくまでもフレームたるメンバー構造(ボックス断面体)とボデーとを一体とした、ユニタイズド・ボデーとかビルトイン・フレームと云うべき構造体であります。
 ところで、昨今はクルマの多種混流生産や原価低減のため、プラットフォームと云われる、主に床部分の共有化が益々進められつつある様です。特に、クルマのダッシュパネルより前の、左右サイドフレームとかフェンダーエプロン辺りを共有化しているケースが往々にして見られるものです。これは、通常のセダン型車同士でも一クラス上のクルマ同士とか、背髙のRV車と共有している場合もありますから、外見をちょっと見たくらいでは想像も付きません。
 この様なフロント骨格の共用ですが、一つの理由にクラッシュ特性の確保と、そのコスト低減がある様に思われます。現在のクルマでは、フロントは車両前面はリジットバリアへのフルラップ衝突テストだとか、デフォーマブルバリアへの40%オフセットテストなどが行われ、高水準の車室内の減速加速度の低さと車室の変形量の少なさを確保する必用があります。
 クルマメーカーでは、新しいプラットフォームを開発するに際し、もちろんテスト車両での実車実験を繰り返しますが、それ以前の設計段階においてスーパーコンピューターによるシミュレーションを各種パラメーター(板厚だとか断面形状、断面積など)を変え、延々と繰り返しているものと思います。
 ですから、ボデー形状が大幅に異なっても、例えばフロント骨格を共用化できれば、クラッシュ特性の確保におけるコストは大幅に削減できることになる訳です。
 なお、エンジンやサスペンションなどのメカニカル部品を共通化できると共に、製造ラインでの治具も共用化でき、同一ラインで混流生産できるメリットも生じます。
 ところで、セダン型車とRV型車で同一のフロント骨格を共有したとして、まったく同一のままという訳にはいかぬ場合が出てきます。それは、車両重量や重心の違いなどもある故のことと思います。このため、実車衝突テストの結果も踏まえ、適宜のパッチワークが行われ、クラッシュ特性の確保が行われている様です。
 ところで、パッチも含め、補強する目的で使われる部材の名称には各種ありますが、その一部を記してみましょう。

・パッチ patch
 (補強するための)つぎあて
・リインフォースメント reinforcement
 補強材のこと。バンパーリインフォースメントが目立つがmサイドフレーム内部などにも多用されている。
・ガセット gusset
 主に三角に近い形状で、構造材のコーナー部に取り付けられる補強材のこと。
・スティフナ stiffener
 エンジンとトランスミッションなど、部品間の結合剛性を増すための補強板のこと。


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