私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

フェラーリ・クラッシュから思うこと

2008-11-16 | 事故と事件

360modenacrash_4掲載したのは、ネットで見つけたフェラーリ360モデナのクラッシュ画像です。どうやら海外での出来事の様ですが、モデナは日本でも結構な台数が販売されていますので、これに匹敵する様なクラッシュが発生していることもあるのかもしれません。

 モデナは、ホンダNSXと同様のオールアルミボデーです。ミドエンジン車ですから、この様な集中加重を受けた際、よりボデー深部にまで損傷が及んでいるのでしょう。しかし、ボデー変形は大きいものの、衝突時の減速加速度は比較的して小さく、左右席乗員席の生存空間も残されていますから、その生死に別状はなかったのだとも想像されます。

 しかし、ちょっと見ただけでもボデーの変形は、恐ろしい程までに及んでいる様子が伺えます。ダッシュパネルからルーフにまで大きく変形が生じている様ですし、それに伴い左右サイドフレームも左右間隔が大幅に引き寄せられてしまっています。サイドフレーム部やサス・ピボット部位のダイキャスト部材のクラックが生じている可能性も想像されます。ですから、ダッシュパネルより前のボデー全体と、ルーフパネル等を交換しなければならないでしょう。メカニカル関係でも、コンデンサーやラジエータは当然として、ステアリングラックもぶち切れている様です。室内でも、エアバック類は当然作動しているでしょうし、インストルメントパネルやエアコンユニット、ワイヤリングハーネス等々、取替が必要な部品が盛り沢山となるのでしょう。

 従って、この車両の修復作業を想定した時、つまり修理見積額は車両価値を上回る、いわゆる全損状態となってしまうんだろうなと想像してしまいます。

 この様なフェラーリに事故車を見ると、私の横浜時代に巡り会った鈑金屋さん(以下Aさんと記す)を思い出してしまいます。

 Aさんとは、それ以降も時々お電話でお話したり、時々ですが訪問することもある等のお付き合いを続けさせてもらっています。Aさんは私に「もう、フェラーリを直すという面白さはないよ」と云います。つまり、アルミボデーの外板は直せるんだが、骨格部のアルミ引き抜き材とかダイキャスト部位は、修理が出来ないんだという訳です。それと、F40までのウェットカーボンまでは何とかなったが、エンツォなんかドライカーボンのモノコックだから、クラックが入ったら、修理はお手上げだと云いたいんだと思います。

 フェラーリ等の少量生産車は、日本車等の多数のロボットを使用した流れ作業による生産でなく、1台1台を手作りによる組立を行って来ました。そのため、1台毎に各部品の寸法精度のバラツキが大きく生じていました。そのため、バンパーやフェンダーというボデーパネルを取り替える場合にも、量販車の様には簡単には行かないという部分があり、そこにAさんは苦労と共に面白さもあったのだと思っているのだと想像します。なお、Aさんによれば、最近のフェラーリ(F355以降)では、その様な部品のバラツキも少なくなって来ているそうです。

 この板金屋さんのことを思い出しながら、あるところで17年近く昔のCG(カーグラフィック)誌のバックナンバーを見ていましたら、そのAさんのことが掲載されていました。添付ファイルとして掲載しますので、興味がある方は見て下さい。それにしても、記事でのAさんは若いと感じます。




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