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ガソリンとディーゼル何が違うか?

2020-06-06 | 車両修理関連
 に表題の問いを一流と称する整備士とか事情通を行ってスキルを確かめて見るのも面白いだろう。素人的に考えると、ガソリンとディーゼルは燃料が違うという安易な答えになる訳だが、本質はまったく別のところにあろう。

 さらに、スキルを確かめるために、何故ディーゼルエンジンは高回転できないのか?」、また、ディーゼルは、何故オイルが真っ黒に汚れるのか?と聞いて見ても面白いだろう。
 また、ちょっと捻った疑問として、大型商用車とか船舶用大型エンジンには、ディーゼルしかないがどうしてか?と質してみるのも面白いだろう。

 これら、疑問は、燃焼方式が異なるからという答えに終始する。つまり、ガソリンは混合気吸入の火花点火エンジンであるのに対し、ディーゼルは圧縮着火による拡散燃焼という違いとなる。また、ガソリンが比較的高回転できるのは、吸入圧縮時に生じる乱流(タービュランス)により、回転速度が上がるほど、乱流も強く燃焼速度が向上するからなのだ。ディーゼルには、混合気燃焼という概念がなく、乱流に応じて燃焼速度が向上する効果はほぼない。

 一方、大型エンジン(大排気量エンジン)では、幾らマルチシリンダーにするとしても、気筒数の限界は生じてくる。第二次政界大戦当時の航空機に多用された二重星形エンジンでも、14気筒か18気筒までが限界だろう。そこで、最大馬力を2千馬力以上を出そうとすれば、総排気量は30L程度になる。つまり単シリンダーで2Lを越える様なエンジンだ。こうなるとボアは必然として大径となり、大概の航空機用ガソリンエンジンでは、ツインスパーク(二重点火)を持つが、点火してから火炎がシリンダーボア端部に達する前に外縁部で自己着火してしまうというプレイグニッション(異常燃焼)を生じてしまう。従って、最大圧縮比を低めてやることになるが、それでも超ハイオク(オクタン価130とか)を使用しなければならないということになってしまう。この様なシリンダーボア径の限界はディーゼルには一切ない。だから、船舶用の低速ディーゼル(100rpm前後)では、数mまでのボア径があると云う。

 それでは、排気量30Lの航空機用エンジンにディーゼルを使ったらどうかということだが、重量が重く、燃焼速度が低く高速回転できない=高出力にできないことから不可となる。但し、陸上の大型車とか戦車のエンジンには最適で、現用戦車のエンジンは、米軍のガスタービンエンジンを搭載したM1A1エイブラムス以外は、総てターボディーゼルだ。また、商用バス・トラも、廃ガス対策前までは、最大30Lクラスのディーゼルまでがあったが、排ガス対策以後は13L+ターボが主流になり、今さらに小排気量となる9L+ターボに移行しようとしている。なお、これら高速ディーゼルといえども、現代の直接噴射式ディーゼルでは最大回転数は高くても3千rpm程が一般的だろう。昔の渦流室式ディーゼルなどでは、もう少し燃焼速度を早められたから、4千rpm程のものもあったが、熱効率上不利でありコモンレールによる高圧噴射が可能となると共に消滅した。

 次にディーゼルのオイルが真っ黒になることと、ガソリンでもいわゆる直噴だと同じくオイルが黒化する現象について記して見たい。この黒化は燃焼で燃焼室壁面などに付着した燃料粒子が、燃え切れず炭(カーボン)として残り、これがシリンダー壁を流れ落ちてオイルを黒化させているのだ。この未燃焼のカーボン粒子は、当然排気ガスとしても放出される、従って、それをトラップ(捕集)するためにDPFを付けている訳だ。コモンレールの超高圧噴射と微細多孔ノズルにより、より微細な燃料噴霧を行うことで幾らかは未燃焼カーボンの発生は少なくなっているのだろうが、それでもDPFはほとんどのクルマで必用となっている。マツダのSkyactiv-D も国内向けにはDPFなしだが、北米向けにはDPFが付いている様だ。

 しかし、このディーゼルに必須となったDPFだが、目詰まりを起こすことから、再生機能というのが付くのだが、これがまた新たなトラブルを生むのだ。それは、以下リンクにて。

エンジンオイルが増えるとは?(ダイリューションのこと)
2016-10-22 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/95ffecd38cdb15a3ead9a022fa918742

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