私の思いと技術的覚え書き

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アイドルストップの不快

2017-09-04 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 現在のクルマにはアイドリングストップ(エンジン停止機能)を採用したものが大変増えた。この目的は、停車時に燃費および排気ガスに寄与するエンジン稼働を停止し、高性能を発揮したいというものだろう。実際、新型車の型式認証に関わるJC08モードにおける走行パターンでは、1200秒の全走行時間の中に11回程度の1~5秒程度の停車が繰り返されるが、このアイドルストップを作動させることで、燃費や排ガスの減少に幾らかは寄与しているのだろう。

 しかし、アイドルストップ付き車に乗って思うのは、意思に反するワンテンポ遅れるタイミングでのクルマの動きや、トラックなど大排気量ディーゼルなど始動時の振動の不快さが繰り返されることになり、乗り込みエンジン始動と共にアイドルストップ解除のスイッチを押してしまう。しかし、一旦エンジンを停止し、再始動した場合、アイドルストップはイニシャライズされ有効の状態となる仕組みなのだ。これを嫌う者は多いのだろう、市場にはアフターパーツとしてアイドルストップ解除用の機器が販売されている。

 さて、長い停車時間においてアイドリングのままエンジンを始動しておくのは、確かに無駄な燃料を消費することになるのは確かなことだろう。しかし、ごく短時間(1~5秒など)の停車において、エンジンを停車し、発進時に再始動することが、どこまで実用燃費に寄与するのかと考えると、疑問を感じるところだ。例えば、エンジン始動はスターターモーターによりバッテリーから大電流が短時間であるが放電される。始動後は、その放電分を補うため、発電機(オールタネーター)の負荷は高まりエネルギー消費は増すだろう。

 それとメカニカルな部分でアイドルストップ採用車のことを考えてみたい。同採用車では、頻繁に繰り返されるエンジン停止と再始動におけるスターターモーター本体やフライホイール外周のリングギヤの耐久性アップが必要になる。また、バッテリーもアイドルストップ付き車専用のバッテリーとされている場合がある。

 それと、故兼坂弘氏が、エンジンクランクメタルは100万キロを超す寿命を持つが、メタルが最も摩耗する瞬間は、エンジンが停止する時と始動する時だと記していた。それはエンジンが回り出せば、クランクメタルの外周下部にもオイルがクサビ状に流れ込み、クランクシャフトはメタルと接触せず浮いた状態になるので摩耗はしない。しかし、回転力が失われ止まる時、クサビ状のオイルが失われ、重力よりクランクはメタルと接することになるからだ。まあ、10万キロ程度の走行の一般乗用車には、さほどの影響はないと判断してのことだろうが、昔のメカ屋としては気になるところだ。


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