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いすゞ大型系メインリレー2つリコール

2022-05-29 | コラム
いすゞ大型系メインリレー2つリコール
 5/27付けでいすゞ大型トラック系で、エンジンリレーブロック(ボックス)内に装着される、キーオンリレーとECMリレーの2つに不具合があるとしてリコールを届け出ている。

 このリコールの届けだが、その問題はともかくとして、理由付けの文意に作為的なごまかしとか以下に安価にリコールを済ませようというメ品質担当部署担当者の工夫というか論理矛盾が現れていて面白いところだ。

 今回の説明では「リレー内部の樹脂製ボビンが熱により収縮し、コイルとの間に隙間が生じ
るものがある。そのため、そのままの状態で使用を続けると、走行時の振動等によりコイル線が断線し」と記してある。「熱による収縮」だが熱とはコイル通電時の発熱だろうが、発熱時には傍聴するのだろうが、通電OFF時に収縮すると解せば、まあ嘘は述べていない様だ。



 ただ、不思議に思うのは、この様なパワーリレーは従来から使用されてきた汎用的な1回路2接点のもので、今更こういう不具合が出たことを訝るところだが、リレーのサプライヤーを変更したのが原因だろうか。

 今や、車両メーカーはというかティア1サプライヤーも含め、エミッションシステムやADS等でコスト増大もあり、下位サプライヤーを種々買いたたいてコスト圧縮に余念がないが、リレーブロックサプライヤー(ティア1)は、ヤザキか住友辺りだと想像するが、内部のリレーを従来オムロンとか富士通辺りを使用していたのをTyco(タイコエレクトロニクス)辺りに変更したのかもしれないとは拙人の想像に過ぎない。

 こういう樹脂部品の成型硬化(専門用語としては重合硬化)というケミカル分野は、未だ様々な解決されるべき課題とか、その重合反応の不十分さで、とんでもないリコールを生み出したのが昨年から生じたデンソーの燃料ポンプインペラの膨潤だろう。これは、重合硬化の設定温度が不適切だったため、ガソリン燃料によりインペラが膨潤して寸法拡大により、ケーシングと接触し動作不能になるというリコールを全世界で1千万台を近く生み出したというものだ。また、日本製のよりも欧州の車両メーカーの内装樹脂部品に多いが、外面上の変形などはほとんど変化は感じないが、部品脱着とか落下させたりした場合の脆化が驚くべき程脆くなっていて、まるでガラスの様な樹脂になっていると云うことを経験する。

 話しが拡大するが、近年CFRP製品を大げさに云えば神のごとくあがめる気風があるが、確かに長尺カーボン繊維の1本の断面積は髪の毛より小さいが、同断面の高張力鋼の10倍ほどの引っ張り強度がある。ただし、この強いカーボンファイバーも包む樹脂とのコンポジットで強度を得ていることを忘れてはならない。様は鉄筋コンクリートと同様で、コンポジット材は、幾ら内部の鉄筋なりカーボン繊維が高強度でも、必要以上の変位を生じたり経年を経て、コンポジット材の劣化が生じれば、およそ初期の強度は得られなくなる。この様な点で、鉄筋コンクリートよりも、CFRP製品は、樹脂を使用しているが、この樹脂の経年脆化の問題が何処まで耐候性があるのかという問題は、テスト段階では加速度試験などシミュレーションで評価はなされているのだろうが、未だ採用されて数十年ということころで、十分な実証がなされていないと感じているのだ。レーシングカーとか航空宇宙産業用途で、さほどに長期間の耐久信頼性を求めないとか、十分な定期点検でカバーリングできる場合は良いが、クルマの様な車検などと云う点検制度はあるものの、ほとんど分解しないでの外観目視検査だけで済ます製品にこういう素材を使うリスクは、今後生じて来るのかも知れない。また、金属でも、クルマの場合は、一部の限定部品にしか使用していないが、アルミの代わりにマグネシウムをホイールに使用した製品というのが最近は少なくなっているが過去あった。マグネシウムは、活性度が高い素材であり、経年劣化が激しい素材であり、外観から判り難い脆化が進行する場合があることが知られている。


#いすゞ大型 #リレーリコール


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