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ビッグモーター特別調査委員会の調査報告書受領の件

2023-07-06 | 事故と事件
ビッグモーター特別調査委員会の調査報告書受領の件
 以下記事は東洋経済が伝えるものだが、これによると昨年明らかになったビッグモーター社の保険金不正請求疑惑について、関係損保3社の要請もあって、第三者たる弁護士委員会による特別調査委員会が今年1月には組織されていた。その調査報告書を受領したことが同社HP上で7/5付けで公表されているが、記事によれば6月までには報告されていたという。

 この同社HPインフォメーションは別添の通りだが、特別調査報告書の内容細目にはほとんど触れていない。記事では、調査委や取引の損保3社からは報告書の公表を強く求められていたにもかかわらず、受領後も「1か月近くにわたって延々と渋り、公表の有無を自ら決めようとしなかった」(調査委の関係者)という。その後、関係損保3社へは、こ抜粋版を作成し提出していたと報では伝えているのだが、現在は抜粋ではない真性の報告書が開示されているのかは不明だ。

 こと、ここに至って、調査報告書原本写しを入手した関係損保はどういう対応を取り、多数の契約者の信頼を取り戻そうとするのだろうか。

 しかし、従前までの他報道から読み取れるビッグモーター社の年間収保200億、年間入庫誘導台数3万台、損保ジャパン社に至っては、社員5名をビッグモーター社に派遣していたことさえ伝えられている。

 今回のビッグモ-タース社の不正は、同社の信頼を貶めることになるのは当然だが、同社に対して毅然とした対応をしないまま推移させている損保3社の姿を国民としては不信を持って眺めるしかないだろう。記事の中には調査結果を受けて、今後は保険金詐取といった刑事事件に発展する可能性を伝えているが、扱い損保3社は、そもそも論としてどうして代理店契約の解除を言い出さないのだろうか。これでは、一般国民としては、200億の保険料欲しさに、不正をしても縁切り出来ない、金だけが目的の損保というイメージを生み出してしまう様にも感じるところだ。この代理店解除の話しを打ち出せない様では、到底刑事告訴するなんてことはあり得ないと思えてしまう。さて、7/4付け本ブログで伝えた損保協会新会長はあいおい社の社長だが、どういう断を下すのか注目したいところだ。また、広く国民たる一般契約者や修理業界の理解を得るためには、今回の報告書全文を公開すべきではないだろうか。



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ビッグモーター、組織的な不正請求が明らかに
調査報告書の公表めぐり晒した経営の醜態
中村 正毅 : 東洋経済 記者
2023/07/06 15:15
 中古車販売大手・ビッグモーターによる保険金不正請求問題で、新たな動きがあった。2023年1月に設置した特別調査委員会(委員長・青沼隆之弁護士)が、6月までに報告書をまとめて同社に提出した。

全33工場で水増し請求の疑義
 弁護士などで構成される調査委が報告書で指摘したのは次のような点だ。まず、全国に33あった整備工場のうち、すべての工場において事故車修理費用の水増し請求の疑義があったこと。
 またその主な手口は、工場長などの指示に基づいて損傷のない車両のパネル部分に板金塗装を施し、修理費用を水増し請求するといったものだったという。
 ビッグモーターは水増し請求の発覚当初、その真因は「工場と見積作成部署との連携不足や、作業員のミスなどによるもの」「意図的なものでないことを確認している」とし、不正ではなく、あくまで過失によるものだと主張していた。
 ビッグモーターの幹事会社である損害保険ジャパンは、その主張を全面支持するかたちで、それまで各社が停止していた修理取引を抜け駆けするかのように再開していた経緯がある。
 しかし調査委は、役員をはじめとした本社サイドが各工場に過度な営業ノルマ(粗利)を課し、現場の社員たちが水増し請求に手を染めざるを得ないような状況に陥らせていた側面があると断定。そのうえで、適切な営業目標の設定や経営責任の所在の明確化などを求めている。

半ば組織的ともいえる不正行為が明らかになり、言い訳ができない状況に陥ったビッグモーター。
 調査委や取引のある大手損保からは報告書の公表を強く求められていたにもかかわらず、受領後も「1か月近くにわたって延々と渋り、公表の有無を自ら決めようとしなかった」(調査委の関係者)という。

調査報告書の詳細はほとんど触れずじまい
 さらに、7月に入り報告書を受領した旨をホームページで発表したが、そこに記されていたのは、「事態を重く受け止め、企業体質の改善に努めてまいります」や「不適切な請求事案を確認した案件におきましては真摯に対応してまいります」といったもの。調査報告書を受け取ったことは公表したが、その内容の詳細には触れずじまい(ビッグモーターのホームページより)水増し請求が意図的なものだったのかどうかなど、その詳細についてはほとんど触れずじまいだ。

 また調査委からは、報告書の内容を都合よく改変することがないように言われていたが、一部内容を変えて抜粋版を作成し、損保に提出するという迷走ぶりだった。そうした経営の醜態を見ると、もはや自浄作用を期待するだけ無駄なようだ。

 調査結果を受けて、今後は保険金詐取といった刑事事件に発展する可能性があるが、その前段階として焦点となるのが、不正請求の全容解明と、損保ジャパンとの“癒着”だ。
 特別調査委が今回実施したのは、あくまでビッグモーターにおける不正請求の経緯や真因の調査だ。
 いつから行われていたのか、何件あったのか、なぜ損保ジャパンはほかの大手損保が停止した取引を早々に再開したのか(再開2カ月後に再び中断)、といったことの全容調査はまさにこれから始まることになる。

被害を受けた顧客への対応は後ずれ
 損保ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社で、事故車修理の取引(入庫誘導)は年間3万件超あったとされる。そのため全容解明にはまだ数か月かかりそうだ。
 そうなると、水増し請求のせいで余計な費用を支払ったり、等級の引き下げで保険料が値上げになったりといった被害を受けた顧客への対応は、その期間だけ後ずれすることになる。

 折に触れて時間稼ぎをし、世間の関心が薄れるのを待つかのような対応を続けていると、企業としての信頼を完全に失い、ひいてはその存続も危ぶまれる事態になりかねない。


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