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テスターの内部抵抗の話

2017-06-08 | 技術系情報
 内部抵抗というのは、バッテリー電源だとか、電子回路や計測機器において、宿命的に存在するし、その大きさが問題になる場合を電装診断技術者は知る必用があるだろう。

 例えば、バッテリーが劣化し内部抵抗が大きくなると、エンジン始動時の大電流が流れた時、端子電圧は大きく低下してしまい十分なクランキングが不可能になる。

 一方、極微弱な電気出力によるセンサーと高い内部抵抗をもった回路で構成されるセンサー回路を、アナログテスター(内部抵抗数百KΩ)で計測しようとしても、テスター自体の内部抵抗に分流されて電圧降下して、正常な電圧計測はできない。また、センサー出力がDCでなく、一定のパルス状だとかAC成分を持っている場合も、内部抵抗と共にコンデンサー成分を持つインピーダンス特性のため、まともな電圧計測もしくはパルス出力を観察することはできない。この様な場合は、内部抵抗(数MΩ)のシンクロ(オシロ)スコープでの計測に頼らざるを得ないのだ。

 ラムダ(O2)センサーの具体例を記してみる。現在の三元触媒使用のガソリンエンジンでは、ラムダ(O2)センサーが当然使用される(触媒の上流および下流の2つ)。ラムダセンサーは白金ロジウム皮膜を使用したセンサーで、排気ガスと外部空気の酸素量の差が大きい程(つまり空燃費が濃い)起電力を生じる。一方、排気ガス酸素量と外部空気が近似してくる(空燃費が薄い)と起電力は小さくなる。このラムダセンサーの出力はECU内部のコンパレーターでよりしきい値を超えるかどうかをモニタリングしており、起電力大だと空燃費を薄めつつ、起電力小となると反転して空燃費を濃くしていくという反復動作(フィードバック制御)を行っている。当然、燃料増量や減量を無制限に行うことは、システム上の異状と判断して制御を中断する。一定時間増量もしくは減量して、ラムダセンサーの反転出力が検出されない場合、制御を中断しエンジンチェックランプを点灯させる。このラムダセンサーの出力電力は、非常に微弱であって、その電圧をチェックするために、検出回路側の入力抵抗も高くされている。従って、数百KΩの内部抵抗のアナログテスターでは、まともに出力電圧を計測できないのだ。なお、旧来のラムダセンサーは、昇温した後に活性化して起電力を生じたが、近年ではヒーター回路を内蔵し、冷間始動直後からセンサーの活性化する様になっているが、このヒーター回路の断線、短絡もモニタリングしており、チェックランプを点灯させる。

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