私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

最高のコンプライナンス違反

2011-05-16 | コラム
 またまた原発事故の件ですが、福島第一・1号機のメルトダウン事故が報じられましたが、これには驚きも感じませんでした。ああ、やっぱり、まともな学者や技術者の方々の云った通りだったなとの思いです。
 しかし、ある御用学者が、こう云っていたのを覚えています。「例えメルトダウンを生じても、原子炉圧力容器の底にウランが固まって溜まるだけで特に問題はない」とのことでした。でも、水素爆発だったのか核爆発であったのか、その理由はともかく、原子炉圧力容器の中にしか存在しない成分が、大気中に飛び散っていることは確かなことなのです。先日も、同事故原発から300km離れた神奈川県南足柄市の茶葉から基準を上回る放射能地が検出され出荷停止が報じられたところです。
 以上のことから、原子炉圧力容器とそれを取り囲む原子炉格納容器に、亀裂などの相当大きな穴が空き、内部の放射性物質が、爆風と共に飛び散ったのは間違いないことなのでしょう。今まで、余り意味のない政府系機関(原子力安全委員会と保安院)達は、漏出した放射性物質の量から、チェルノブイリと同等のレベル7と判断したと云っていたと思います。しかし、原子炉の中身が爆風と共に噴き出したのですから、チェルノブイリとまったく同様・同等の事故であったのだと思わざるを得ません。
 神奈川の茶葉の汚染について、死の灰が降り注いだことは間違いありません。周辺の、例えば、お茶所たる静岡県では、直ちに茶葉の検査を行い基準値を下回り安全だとしています。しかし、検出された数値の発表は聞かれません。現在、お茶だけが問題視され、他の野菜では問題は生じていないとされています。しかし、土壌汚染はどうなのだろうかと思うのは極普通のことと思いますが、何ら報じられることはありません。
 原発事故後、一週間ほどの頃でしょうか。元日立の原子炉設計技術者であったという大前研一氏の発言をネット動画で見聞きしたことを記します。同氏によれば、地震および津波により全電源喪失の事態に陥った時、当然外部電源車による電源の回復が試みられたそうです。ところが、福島第一・1号、2号はGE製の原子炉で、電源は400V仕様であったとのことですが、電源車の電圧は国内仕様の200Vであり、そもそも接続用のコネクタ(コンセント)が合わなかったとのことです。これを聞いて、原子力発電所というのは、安全性は持つが、それも日頃の点検や非常時を想定した継続的な訓練の上に成立するものと思っていましたから、本当にマジメに訓練していたのか? 単なる訓練をしたという形だけのお座なりなものではなかったのか? と思ってしまったのですが、多くの方が思うことでしょう。
 事故当事者である東電の社是だとかコンプライアンス規定を見た訳ではないですが、多分「電力の安定供給を持って社会貢献する」などが記してあることでしょう。しかし、今回の原発事故に関して、東電、政府、政府系関係機関、大手ジャーナリズム達は、自分たちの立場を最優先し、人命を軽視し続けている、大きなコンプライアンス違反があると思わざるを得ません。まあ、それ以前に、倫理観もしくは道徳観に欠けた対応を、終始し続けていると感じるのは私だけではないでしょう。

追記
 大手ジャーナリズムのことについて、追記します。原子炉爆発後の放射能地が高まった時、米国では日本国内米人の原発から80キロ圏外への避難要請したと報じられました。この時、日本人は20キロ圏外への避難でしたが、大手ジャーナリズムは、会社によって差異はある様ですが50キロとか40キロ県内への自社の社員(正社員前提でしょう)の立ち入りを制限していたのだと云います。つまり、当時20キロ近くまで近づいて報道していたのは、地もとジャーナリストおよびフリーランス・ジャーナリストや大手の下請けだか孫請けだか知りませんが、その様なジャーナリストだけだったと思います。こういう姿勢で、正しい報道が行える訳もないことでしょう。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。