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【再録】疑義事案との闘い(その1)

2021-10-20 | 賠償交渉事例の記録
【再録】疑義事案との闘い(その1)
初版 2008-08-26

■はじめに
 この記述は、2008年に記したものだが、長引く不況、コロナ病変という社会情勢を考える時、深く静かに奥底では蠢いているんではないかと思っている。この内容を見直しつつ、一部加筆や、新しい資料などあれば付け加え編集し、その1~11までを、これから1日2本程度を再録していきたい。

■以下本文
 疑義事案に関わる題材は、何時かは記さなければならないものと感じていた。この疑義事案とは保険業界用語で云うところのモラルリスク事案のことであり、もっと云えばいわゆる保険金詐欺に類する事案と云うこととになる。

 さて、このモラルリスク事案だが、どの程度に存在しうるのかを検討してみたい。保険会社内での各種統計では、モラルリスク事案として保険金を支払わなかった案件(いわゆる免責事案)は、数パーセントという程度のものだろう。また、別添の警察庁発表による「交通特殊事件による保険金詐欺の取り締まり状況」でもH26年~H19年までで、おおむね件数で170件前後、(関わる)人員300名前後、被害額3億から4億円というものだ。


 しかし、巷云われ私自身も実感してきたことだが、潜在的にはもっと多くが存在することが伺われるものと考えている。それでは、実際にどの程度存在しうるのかだが、これは地域的な問題や社会情勢等も絡み、一概には類推することは困難な問題なのだとも感じる。しかし、さる海外在住ジャーナリストの記事(下記)によれば、欧州のことだが20%程度の潜在的な占有が伺われるのだ。

 では、日本の実態はどうであるのかだが、ある方は20%は存在すると云いますし、5%程度ではないかと類推する方もいる。そんな中、これは私の私見となり地域的なバラツキはあると想像されるものの、全体として10%程度が潜在的に存在するのではないかと想像しているのでだ。そして、バブル崩壊以後の長引く不況の連続と、近年のコロナ病変下では、その潜在数を押し上げているだろうなと予想しているのだ。

 しかし、そんな不敵な輩が存在するからと云って、保険会社が総ての契約者を疑うことは間違ったことであると信じる。大多数の契約者は善良なる市民であり、偶然外来の事故としての万一のためのリスク回避を目的に、その保険費用を負担しているのだ。そのことを前提とした、公平で公正な損害調査を行うのが保険会社の使命であるべきだろう。そして、そこに巣くう不敵な輩に対しては、社会悪として徹底的な排除が求められるべきことであろう。
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(独在住ジャーナリスト:熊谷徹氏の記事「保険金詐欺との闘い」より)
 保険関係者にとって頭痛の種は、保険金詐欺を悪事と思わない客が少なくないことだ。「消費行動研究協会」という団体が行ったアンケート調査によると、回答者の59%が、「個人賠償責任保険の被害額を、実際よりも多く届けた」と答えている。

 さらに、衝撃的なのは、回答者の8%が「保険事故をわざと起こした」と答え、19%が「保険事故が起きたかのように見せかけた」と答えたことである。特に保険内容に不満を持っている顧客ほど、「一度くらい保険金を高く請求したって良いじゃないか」と考える傾向が強いという。

 たとえば、「家財保険に対して不満を持っている」と答えた人の割合は、保険金詐欺を行った人の間では、詐欺を行わなかった人に比べて9倍も高かった。

 詐欺の対象になるのは、個人賠償責任保険、家財保険、住宅火災保険、傷害保険など様々だが、最も頻繁に狙われるのが自動車保険である。実際、ドイツの警察の事件ファイルを見ると、自動車をめぐる保険金詐欺にしばしば突き当たる。
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※次回はモラルリスク発見の端緒は何かについて記してみたい。

#保険事故・疑義事案その1


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