私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

イーロンマスクがEVコスト半減宣言

2023-03-22 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
イーロンマスクがEVコスト半減宣言
 何かと吹かす発言があるテスラ社イーロンマスク氏だが、EVコスト半減宣言をぶち上げたと報じられている。
 このことを彼一流の何時もの大ボラとも一笑に付すことはできないと思っている。と云うのは、既にテスラ社の販売優位としては、2つ程度が見て取れると認識している。それは、ディーラーを持たない直販方式と、前後ボデーストラクチャーのダイキャスト一体成型による部品点数の圧倒的な削減だろう。
 また、テスラEVでは自動運転レベル2相当は最低限実現しているが、そのためのECUなど統合化も進めている様だ。この辺りになると、現行トヨタ等は、多数のECUに分散しており、現状のままではコスト的に非常に不利だ。
 それと、EV車でもっとも部品コストを要する部品としてバッテリーとなるのだろうが、これを何処まで圧縮できるかという辺りがキモとなる様に想像できる。
 だた、将来的に自動運転技術がレベル3とか4となり、低速度での無人運転までが可能な時代を予想すると、クルマは所有する者でなく、都度借りるなどサブスクでの販売が中心となる可能性は高いと思える。この動きは、市場において販売マージンを売り上げるディーラーの既得権を奪う共に、総保有台数の縮小を招き、自動運転による事故率低下とも相まって保険市場も相当に奪うだろう。
 それと、アルミダイキャストにより大幅な部品数の圧縮は、実際事故修理において、車両価値と修理費の関係で、事実上の修理市場も奪うと想像できる。
 何れにしても、このEVおよび自動運転のコスト圧縮の動きは、既存車両メーカーは無視できないと思えるところだ。

--------------------------------------------------------------
マスク氏のEVコスト半減宣言、競合に手痛い一撃
GMやフォード、VWはコスト削減のハードル上がる
THE WALL STREET JOURNAL
テスラの主力モデルはコスト面で、ライバル勢に対して数千ドルの優位性を確保しているとされる
PHOTO: DAVID PAUL MORRIS/BLOOMBERG NEWS
By Tim Higgins
2023 年 3 月 22 日 11:00 JST
 電気自動車(EV)開発競争でテスラの背中を追う主要メーカー各社は、イーロン・マスク氏から変化球を投げ込まれた。向こう数年でテスラの次世代モデルの生産コストを半減させるとの目標をぶち上げたのだ。
 テスラの主力モデルはすでに、競合勢よりもコスト面で数千ドルの優位性を確保しているとされ、ライバル各社はその差を埋めようと必死だ。
 マスク氏は今月、モルガン・スタンレー主催の会議で「より小型なEVを『モデル3』の約半分の生産コストと難易度で生産する明確な道筋がある」と言明した。
 マスク氏の発言は、テスラのインベスターデー(投資家向け戦略説明会)で掲げられた目標を改めて確認するものだった。テスラ幹部は垂直統合や工場の自動化、部品数の削減などを通じてコスト削減を進める考えを示している。
 マスク氏は、具体的な数字や低コストモデルの投入時期など詳細については明らかにしていない。これまで自ら設定してきた価格引き下げの野心的な目標を幾度となく達成できなかった同氏だが、アナリストの間では、こうしたテスラのコスト削減努力により、業界トップを走る2桁の利益率を損なうことなく、かねて確約してきた2万5000ドル(約330万円)の新型モデル投入がついに可能になるとの見方が出ている。テスラはコメントの要請に応じていない。業界にとって、コスト削減は自動車の誕生直後から最大の課題だった。
 ところが、各メーカーは目下、高インフレと巨額のEV開発投資という二重の負担に見舞われており、コスト削減の切迫性がかつてなく高まっている。
 コンサルティング会社アリックスパートナーズのマネジングディレクター、マーク・ウェイクフィールド氏は「これが(従来の自動車メーカーに対する)圧力を強めている」と話す。同社の分析によると、メーカー各社はラインアップをEVに転換するため2026年末までに合計5260億ドルを投じる計画だ。
 メーカーの多くは、EV販売のスケールメリットを達成できる前の段階で、こうした巨額投資を先行している。EV需要は急速に伸びているとはいえ、世界販売に占める割合はなお小さい。
 14日開催された独フォルクス・ワーゲン(VW)のアナリスト・投資家向け会議でも、マスク氏の発言を受けて競合各社がさらに厳しい状況に追い込まれていることが鮮明になった。
 UBSのアナリスト、パトリック・ハメル氏は、同社のEV「ID. 3」に関するVW幹部への質問で、テスラのコスト削減計画について言及した。同氏によると、ID. 3の欧州での販売価格は約4万ドルからで、VWにとって「損益トントンのラインをわずかに上回る程度」だ。
 ハメル氏は幹部らに対し「VWが向こう数年で利益を確保しながら、手頃な価格のEVを販売できるとは想像しがたい」と述べている。
 これに対し、VWのアルノ・アントリッツ最高財務責任者(CFO)は「競争がこの先、激化することは十分に認識している」とし、「そのため、間接費をできる限り抑えていくつもりだ」と答えた。
 VWは共通の部品を使用する次世代EVについて、いずれ時間とともにコストを削減できると読んでおり、アントリッツ氏も2万5000ユーロ(約350万円)未満のEVを投入する考えを改めて強調した。同社は先週、新型モデルのコンセプトカーを発表しており、欧州で2025年に発売するとしている。
 アントリッツ氏は「その頃までにはかなりのスケールを実現できるだろう」と話す。
 テスラを主力メーカーに押し上げたセダン車「モデル3」の価格は米国で約4万5000ドルからとなっている。モデル3が発表された2016年当時は、3万5000ドルの価格設定を目指していたが、生産が始まった17年には同価格での提供は見送られた。マスク氏によると、その水準では採算が取れないためだ。
 もっとも、テスラはコスト削減の取り組みを続け、2018年以降、生産性の向上やエンジニアリングの変更など、さまざまな面を通じて30%の改善を達成したと述べている。幹部らは次世代EVのコスト削減を達成する上で、これらがひな形になるとみている。
 車両を解体して各社のコストを比較するケアソフト・グローバルのマシュー・バチャパラムピル最高経営責任者(CEO)は、テスラのコンパクトスポーツ用多目的車(SUV)「モデルY」について、競合勢の対抗モデルと比べて、コスト面(バッテリーを除く)で少なくとも3000ドルの優位性があると指摘する。
 マスク氏がコスト半減の目標を達成できなくても、テスラが目標に向かって大規模な取り組みを行う意味は大きい、と業界関係者は話す。テスラと競争できるメーカーを投資家が見定める上で、マスク氏の発言は事実上、クリアすべき新たな基準を設定したと言えそうだ。
 テスラに対する主要メーカー各社の競争能力については、すでに懐疑的な見方がくすぶっている。
 ウルフ・リサーチのアナリスト、ロッド・ラシュ氏は2月の会議で、フォード・モーターのジム・ファーリーCEOに対して、投資家100人を対象に行った自社調査の結果を伝えた。調査では、伝統的な自動車メーカーがコスト面でテスラに追いつけるとは考えていないとの回答が92%に上ったという。
 ファーリー氏に驚いた様子はなかった。同氏は変革の必要性について語る際、テスラが持つ1台当たり1万ドル余りのコスト優位性によく言及する。社内の抵抗を打ち破るため、ファーリー氏は将来のEV開発を担うものも含め、複数の新たなグループに分けるといった取り組みを行っている。斬新な思考を促すことも狙いだ。
 モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏はテスラの投資家説明会を受けて、EVの収益性で従来のメーカーがテスラに追いつくのは難しいとの確信を深めた。
 同氏は「値下げ競争で、どこまで各社の体力が持つか、当社では重大な疑問を抱いている」とリサーチノートで述べている。ジョナス氏はかねてテスラ強気派として知られる人物だ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。