私の思いと技術的覚え書き

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関越道バス事故から10年

2022-04-29 | 事故と事件
関越道バス事故から10年
 この関越道バス事故から、未だ10年しか経ていないといういうことに、若干驚きを感じながら当時を思いだす。
 そもそも拙人は、数年前まで小規模で比較的短期間ではあるが、ある観光バス事業者に所属し、その最高位指揮者である「安全統括管理者」という立場で、事業を統括していた時期があり、観光バスの事業運営については熟知している。

 この事故は、運転手の居眠り運転が主因で、高速道路路肩の防音壁にバス車体の中央よりやや左側を衝突させ、あたかも防音壁がナタの様にバス車体を切り進み、バス乗客の中央左席の乗客の命を多く奪った事故であった。本事故で、全長12mのバス車体の前端から約10mまで防音壁が切り裂いていたと云われている。
 それと、図に示したが、事故現場のガードレールと防音壁に約1m程度のオフセットがあり、もしこれがなければ、例え防音壁に衝突させても、比較的浅い角度の衝突であり、ここまでの車体変型を伴う大事故にはならなかったと云うことが云えるだろう。このことは道路管理者にも、事故損害を拡大させた責任があると思えるが、そういう記事を見た覚えがない。

 さらに、この事故で問題になったのは、金沢、富山市内から目的地のディズニーランドまで、約500キロ程度あるのだが、その料金は1名3千円台で運行していたということで、全乗客を合算しても138,000円となる訳だが、バスの原価償却費を除外した直接原価として、高速料金、燃料代、運転手給与を考えれば到底間尺に合うものではない。

 この異常な安価料金を知った国交省では、貸切バスの運行について、バス旅行を企画運営企業とバス運輸企業間に「運送引受書」という運行に際する原価計算書の取り交わしを義務付け、全国運行地域により多少の上下はあるものの、回送運行を含む全運行距離に応じて最低および最高料金の範囲を限定し、さらに高速道路などの有料道路の料金など原価要素を明確にする様定めたのであった。以後、業務監査等において、正規の運行引受書が取り交わされないままの運行を行っていると行政処分が行われる様になっている。



【過去記事】
H24年4月29日の関越道バス事故に思う
2017-01-17 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/0a88c777d7ffc1e22ea277c5eabbce62


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関越道高速バス45人死傷事故から10年 遺族「命より利益。知床観光船事故と私らの事故はかぶる」
TBS NEWS DIG Powered by JNN 4/29(金) 18:21配信
 群馬県の関越自動車道で乗客7人が死亡し、38人が重軽傷を負った高速バス事故から29日で10年です。遺族は、いまも乗客が巻き込まれる事故が後を絶たないことに「利益よりも命を守る世の中になってほしい」と訴えています。
 現場で涙を流す遺族たち。10年経ってもその悲しみが癒えることはありません。
 2012年、群馬県の関越道で高速ツアーバスが防音壁に衝突した事故。バスは、事故の前夜に石川県の金沢市を出発し、富山県高岡市を経由して東京ディズニーランドに向かう途中でした。

記者
 「上空から見る限り、バスの車体正面は原形をとどめないほど大破しています」
 この事故で、乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負いました。
 29日朝、群馬県藤岡市の現場近くでは、発生時刻の午前4時40分に合わせておよそ30人の遺族が犠牲者を悼みました。

岩上剛さん。
 バス事故で当時17歳だった長女の胡桃さんを亡くしました。
 バス事故で長女の胡桃さんを亡くした 岩上剛さん
 「実際生きていたら27歳とかそういうのはよく想像することもあって、どうしているんだろうなとか、結婚しているかもしれないし、そういう生きていたことを、27歳の娘を見たかったというのは本当に日々毎日思っていることなので、10年の節目みたいなことを言うんですけど、私の感覚では9年も11年も何年経とうが別に節目もない」

関越道での事故の後、国は運転手の夜間運行の上限距離などの規制を強化。
しかしその後も、長野県軽井沢町で大学生ら15人が死亡するスキーバスの事故が起きるなど、多くの乗客が巻き込まれる事故は後を絶ちません。
29日、関越道のバス事故の追悼のため集まった遺族の間では、北海道知床の観光船事故のことも話題に上ったといいます。
バス事故で長女の胡桃さんを亡くした 岩上剛さん
「(知床の事故が)私らの事故とかぶる、感覚が。社長が後から出てくるとか、船長のせいにしとるとか。どっちかと言ったら命とかより利益というか。そういうことがなくなっていく世の中になってほしいなと。悲しむ人が増えてくるので」
二度と同じ悲しみを抱く人がでないように。事故がおきるたびに遺族は、こう願い続けます。TBSテレビ


#関越道バス事故 #バス運行料金に強い縛りを取り入れ


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