私の思いと技術的覚え書き

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ボルト結合力

2022-11-11 | コラム
ボルト結合力
 ボルト結合とは、モノとモノを繋ぐ要素技術のひとつなのだが、溶接、リベットと比べた場合のことで記して見たい。
 このモノ間の接合だが、橋だとか建築物だとか、大きな構造物となると、その製作工場ですべて完成まで行って出荷することは、その大きさ故に制限が出て来る。つまり、よほど特殊で比較的移動が短距離なら、超大型物を移動する場合もあり得るのだろうが、既存の道路と運搬用トラックやトレーラー車両を前提にすると、1品当りの大きさに制限を受けることは理解されるだろう。

 そういう鉄骨物の輸送などで気付くことで、今回の記事も記すのだが、製作したばかりの構築物はほぼ全体が防錆のためのさび止め塗装がなされているのだが、件のボルト接合される当りがさび止めされておらず多くの場合錆が生じているのを見て不思議に思わないだろうか。

 これについて、溶接とボルトもしくはリベットでも同様だが、これを比較すると一番のビルトもしくはリベットで問題となるのが、せん断力に弱いということがある。せん断力という言葉が分からない方は、挟みで切る原理を思い出して欲しい。一般的な事務用ハサミでは大して厚い紙は切れないが、これが金切りばさみだとブリキ板など薄板鋼板も切れる。また、鉄工場とか大型貨物の荷台を修理する車体工場などに行くと、シャーリングマシンというせん断によりある程度の厚鋼板(機械の性能により異なるが高性能のものでSS400・12mmmまで可能)まで、歪みなく一直線で一気に切断できる。つまり、母材となる鋼材と、ボルトで固定された当て金との間で動いてズレ様とすると、当該ボルトにはせん断力が働いてしまいボルトが折損してしまうと云うことだ。

 そこで、このズレ様とする効力はボルトの締め付けによる張力(=反力としての押し付け力)による板間の摩擦力が吸収するのだが、その摩擦力を大きくするには、経度に結合面が錆びていた方がよろしいという思想があるとのことなのだ。つまり、ボルト結合部にさび止め塗料を塗り結合した場合、結合面にはさび止め塗膜がサンドイッチされた状態となるが、これだと摩擦力が落ちてしまうということから、あえて生状態として経度に錆を生じさせているということなのだ。

 なお、構築物の多数のボルト結合部は、すべてのボルトを締め終わったら、該当部および当て金などを含み、外部の錆が進行しないようにさび止め塗装を施す。

 なお、自動車で重要部のボルト結合を考えて見ると、シリンダーヘッドのボルトは、これはおよそせん断力は関係なく、ボルト締めによる押し付け力だけの機能だろう。ところが、回転物となるプロペラシャフトとかホイールの取り付けでは、やはり先の板間摩擦のボルトせん断と同じく、取り付け面の摩擦が重要だと云うことが判る。ただし、自動車の回転接合部位に錆まで生じさせることはないが、紙パッキン入れたり塗膜を塗り込んだりすることは摩擦力低下の理由となることを知る必用があるだろう。乗用車のタイヤを外した当たり面となるハブ外面(もしくはブレーキディスクまたはドラム当たり面)は、多くの新車では無塗装で軽度な錆が出ており、気になり塗装を施す場合もあるだろうが、特にディスク当たり面は、塗るにしても厚盛りを避けることが重要だと思える。


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