私の思いと技術的覚え書き

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電着塗装誕生から50年のこと

2008-02-12 | 車両修理関連
 元ホンダの塗装関係の技術者である田辺幸男様という方のHP(下記リンク)を紹介します。

 クルマの防錆性能に極めて重要となる車体の下塗り塗装に採用されている電着塗装(EDコート:electrodeposition)について、詳細に記述されており参考となる内容です。電着塗装とは、車体全体を水溶性塗料液に浸漬して、電位差によって塗料を袋状の車体構造の隅々まで付着させ塗膜を形成するという工法です。田辺氏によれば、この電着塗装は、米国フォード社により50年前に発明されたとのことです。そして日本での採用から、45年になるとのことです。

 電着塗装は当初のアニオン電着(被塗物がプラスで電極がマイナス)から、カチオン電着(被塗物がマイナスで電極がプラス)に変更されると共に、塗料自体もエポキシ樹脂を主剤としたものとなり、防錆性能も大幅に向上して現在に至っています。思い起こせば、私がディーラーへ入社したと当時(1977年)に存在したクルマは、現在に比べると大きく防錆性能が劣っていた記憶が甦ります。そして、このちょっと後にアニオン電着からカチオン電着に変更され、従来より大幅に防錆性能は向上したのが実感されます。同HPには、これら電着塗装にまつわる歴史や、技術的内容が実に詳細に記されているのです。


田辺幸男 自動車塗装の自分史とSL写真展
http://www5.plala.or.jp/stmlo9600/index.html


追記
 田辺幸男様のHPには、電着塗装のことの他に、「自分史への試み」として、ホンダでの30年の塗装技術者としての膨大な記述があります。この内容の総ては私も目を通し切れてはいませんが、以前私のブログで記述したホンダ車が初採用したサイドパネル一体構造の採用経緯のことが記されています。この初採用車は、私はホンダZだと思っていましたが、初採用車はホンダ1300クーペ(1970年2月)であることが判りました。

 サイドパネル一体構造は、ルーフパネルとの接合を、ルーフサイド部の凹部で行い接合部をモールディングでカバーリングする構造(田辺様曰くモヒカン構造)です。ホンダでのこの採用理由は、本田宗一郎氏からの「半田付け作業を止めろ」という指令により開発されたものだと判りました。従来のクルマはクォータパネル(リヤフェンダ)とルーフの継ぎ目を半田盛り成形で仕上げていましたが、このサイドパネル一体構造で、半田仕上げが不要となったのです。従前にも記しましたが、今やこの構造は、世界中で一般的な構造として採用車は普及しています。田辺様とのEメールのやり取りで、田辺様からの返信にも記されていましたが、正に隠れた本田宗一郎氏のもの作りの真骨頂であると感じられます。


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