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 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

車両メーカーの情報提供の不足

2023-07-17 | 技術系情報
車両メーカーの情報提供の不足
 1年ちょっと前より日整連のFAINESを見れる環境(日整連会員工場では月額¥1,650と比較的低額だが被加入者だと¥6,600であり加入権限を得るには種々車両関係の業務を行っていることの説明など審査がある)を得ている。しかし、多くの車両メーカーの修理書などを見るに付け、3、40年前の修理書や新型車解説書に比べると情報量が薄く、また記述内容がド素人が記しているのではないかという修理マニュアルとしての質の低下をおおよそすべてのメーカーで感じる。しかし、ついでに記すが日整連加入工場では、たったの¥1,650だが契約している工場は半数に満たない様だし、契約していても使った(見ていない)工場が多いとも聞く。

 このことの具体例を記してみると、以下の様なところだ。
➀図版などのが今はパーツリストとからの図版を転用した様な粗い図版が目立ち、その示す位置が実車で何処なのか判り難い。昔なら、モノクロであっても写真を多用し、その周辺部分も理解でき、作業の全体的な構成も実車でどの位置に相当するかも迷うことはなかった。

②例えば再使用不可ボルトとかナットの記載がなされているが、M12とかM14というかなり太いボルトでも再使用不可に指定されている事例があるのだが、その理由が記していない。この理由をメーカーに質してみると、ユーザー窓口としては相談室しかないのであるが、そこを通して設計もしくはサービス部に問い合わせ答えて欲しいと粘っても、お答えできませんとにべもない返事だ。そもそも、これはホンダのサスペンション系のボルト類なのだが、想像も含むが防食のために亜鉛メッキボルトを使用しているが、亜鉛の摩擦抵抗があり、再使用で規定トルク管理が困難ということらしい。ただし、たかがボルトだが、サスペンションでこういう大径ボルト10本で数千円の価格となる。サスペンションなどは、一度仮組みして短期間で、スプリングやダンパーを変えて再セットアップする場合もあるのだが、こういう場合でも交換しろと云うのか。これについては、必ずしも塑性域範囲でなくとも、回転角締め付け法で解決するとか手法はあると思えるところだ。

③今やメカニカルとしての機械より制御としてのECUソフトウェア制御の部分が非常に増えたのだが、このすべてのアルゴリズムを説明するのはメーカーの企業秘密もあるのだろうが、修理の判定に利する最低限のアルゴリズムすら記していない場合が散見される。このことは、スキャンテスターでDTCを読み取っても、それが直ちに個別パーツの不良を意味しない場合も多く、故障診断にはDTC異常を報知するアルゴリズムの説明は不可欠だと思うのだが、それは現状ではトラブル修理者の想定力如何に掛かって来る様だ。こういう中で、不必要な部品を順繰りに交換され、その費用を負担させられるユーザーはたまらない。

➃そもそも、道路運送車両府では車両メーカーには自動車の点検および整備に関する情報の提供が第57条の2で提供しなければならない、もしくは2項で提供するよう努めなければならない。とややあいまいな文言規定がある。これについてだが、BSR誌にトヨタのボデー寸法図が掲載されなくなったのも、純正以外のスキャンテスターメーカーが車両メーカーからDTC検出のアルゴリズムを入手しようとした場合、相当高額な費用を車両メーカーは言い放ち、それでは到底販売価格に転嫁しきれぬと嘆く声が聞こえる。こういう車両情報の提供は無料にしろと法文上は記し難いのだろうが、あくまでユーザー便益を優先し、直す権利をユーザーは保持するとすれば、無償提供が望ましいが例え有償であっても利益を考慮しない最低限の価格であるべきだと思う次第だ。

 さて、以下の鹿児島の整備工場のYoutube動画だが、よく編集されていて内容にも価値があるものと感心しているところだ。この内容は動画を見てもらうのが必用だが、かいつまんで概略を説明すると、次の様な内容だ。
 スズキワゴンRなどで、エアコンが時々効かなくなるトラブルをユーザーが訴えるトラブルシュートを行い、苦労したのだがやっと理由が判明した。この理由は、この車両は過去のリコールなのか改善対策で、ECUのバーションアップがなされている。この内容はコンプレッサー焼き付きなどで負荷が高くエンストする場合の対策として、規定アイドル回転を下回った場合、強制的にマグネットクラッチを開放するが、その動作はエンジンをかけ直すまで継続するアルゴリズムが取り入れられたことにあるとしている。ここでアイドル回転が規定を下回ったのは、コンプレッサー負荷ではなく、スロットルボデーの汚損によるアイドルスピードコントロールの物理的不具合があったのだが、そもそもそのアルゴリズムのことが、修理書などに情報に記していなく発見に大変苦労したと云う内容だ。なお、同工場はロータスクラブの会員工場だが、同クラブとスズキ自動車は強い関係にあり、その関係を通じて、本件ECUバーションアップに関わるアルゴリズムの変更のことを知ったとレポートしている。こういう情報は、車両メーカーと強い関係がない整備工場ではまずメーカーは教えないだろう。

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【拡散希望】特定のスズキ車に発生するエアコンが突然効かなくなる謎症状。少しでも悩む技術者が減るように知ってほしい現象。
増満自動車  2022/09/16
https://www.youtube.com/watch?v=aY17crZjcPY&t=2121s


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1 コメント

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Unknown (ゆうき)
2023-07-19 09:52:29
静岡の車屋です
筆者様の意見、知識に本当に毎回感動してます
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