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 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

木骨クルマの時代

2016-09-25 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 久しぶりに訪れた図書館で、昔の商用車を特集した図鑑の如き趣の本を借り出した。眺める絵、写真の数々が、私の生まれる以前のものもあれば、未だ幼い頃、微かに見かけた記憶にあるクルマもあり、興味深く眺めたのだ。

 そんな中、私が子供の頃、未だ未舗装路も多い幹線路を走るトラックで、写真の如くフロントボンネットあたりまでしかボデーがなく、荷台はおろか運転台も満足にないクルマに、覆面よろしくタオルを顔に巻きつけた運転者が疾駆して行くのを、ちょっと目を見張って眺めた記憶が蘇ってきた。

 現在でもそうだが、大・中型トラックの9割方は、メーカーの標準荷台(通称:平箱)で運用することは稀で、パネルバンや平箱であっても荷台枠に背丈の高いアルミブロックあおり仕様とか、ダンプやアームロール車、冷蔵や冷凍車などなど、顧客の用途に合わせた架装が施され使用されている。そんな中、自動車メーカーの経営環境が厳しさを迎える中、従来架装メーカー任せとなってたリヤボデー(荷台)の製造自体もメーカーもしくは系列のボデー架装メーカーが乗り出して来ているケースは増えている。しかし、そうはいっても極めて広範囲に及ぶ架装作業の総てをメーカーが行える訳もなく、それなりの架装は従来からあるボデーメーカーにおいて行われ、メーカーからの出荷はキャブ付きシャシの状態で行われ、架装メーカーまでの自力搬送がなされている訳だが、昔に比べるとその数は大きく減ったと感じる。また、そのことを裏付けるが如く、地域の架装メーカーも大きく減ってしまった。

 さて、写真の件に戻るが、この頃の車両メーカー出荷状態は、写真の如く運転台もない状態で架装メーカーへの移動が行われていた。だから、架装メーカーでは、荷台の製作はもちろん、運転台の製作も受け持っていたことが判る。

 ところで、この頃の架装メーカーによる運転台(キャブ)の製作は、少量一品生産的なことから量販車では当たり前の金型プレスを用いた全鋼板製という訳にもいかず、骨組みは木骨で外面に平鋼板を手作業でR加工して張り付けるという工法が取られていた。従って、この頃のクルマの事故修理においては、外面鋼板は板金屋さんが担当し、骨組みとなる木骨部分の修理は木骨屋(通称:自動車大工と呼んだ)さんが担当したということだ。

 今でも古くから板金を行ってる板金工場やレストアを行う工場に訪ねると、ローラーという2つの鋼製ローラーの間に鋼板を挟み前後にしごき、R付けする機械とか、ハンドシャーという鋼板を歪みなく直線状に切り取る機械が、片隅にあることに気付かされる。もっとも、現在でも架装やその修理を行う工場には、「アマダ」などの大型シャーがある。

 この木骨構造だが、トラックに限らず少量生産の乗用車でも古い英車などで気づかされることがある。私は実物を確認していないが、モーガンなんかも、アッパーボデーは木骨だと聞くが、真偽は確かめる機会がなかった。ご存じの方は、教えて欲しい。


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