私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

【パーツ研究】フューエルポンプ

2021-03-19 | 車両修理関連
 ここでのフューエルポンプとは、ガソリンエンジン燃料噴射用のインタンク型フューエルポンプに限定して私見を含めて書き留めてみる。

 今や自動車用現用ガソリンエンジンはすべて燃料噴射方式となったが、その燃料ポンプは当初はタンクの外側にあったものが、インタンク式としてタンク内の燃料に浸かる形で設置される方式が大多数だろう。

 この燃料ポンプだが、この作動不良によりエンジン始動不能の原因となっている機会を見ることは比較的多い部品の一つではある。その様なフューエルポンプの作動不良が生じる原因として、数年とか長期間放置していた車両で生じる場合が比較的多いと意識している。

 今回、フューエルポンプに直接電源を加えても、電流は流れるのだが、ポンプが廻らないという事例があったので、非分解のポンプを切断して、内部を観察してみたので紹介してみたい。

 電流は流れるがポンプが廻らなかった原因は、ポンプ底面に装着されるインペラ(送油用の羽)とか、モーター内部のアーマチュア下部が長期間のガソリンタンク内放置により生じたガム質状の固形物(一種のスラッジとも云える)により、固着して回転不能になっていることにより生じたものであることが判った。

 なお、モーター上部はコンミュテーターとブラシが写真の様な状態で組み付けられているが、コンミュテーターの銅製導体が、1~2mm程度も摩耗しているのには驚いた。この車両は走行10万キロだが、これでもブラシは接触しつつ、下部のインペラが固着していなければ、正常に回転するのだろうが、やはりある程度寿命のあるパーツの一つではあることは確かだ。

 なお、関連知識として、現代乗用車では被追突事故などで、燃料タンクの変形から燃料が漏れないタンクの接地位置として、リヤシート床の下面に装着される場合が多い。この場合、プロペラシャフトとか排気管を通す関係で、タンクの形状が、中央部が逆凹型(この様な形状を通常鞍型タンクと呼ぶ)になっている場合が多い。この鞍型タンクでは、鞍型の片側のタンクの深い部分にフューエルポンプは接地され、エンジン部にガソリンを圧送するが、プレッシャレギュレターで燃圧を300kPa程度に制御され、余分の燃料はリターン配管でタンクに戻されるが、ポンプと反対側の鞍型の深い方へ戻す様になっている。これにより、燃料が減って来ても鞍型の左右の燃料液面が同じ高さに揃うように考慮されている。なお、プレッシャーレギュレターは、一般にフューエルインジェクターの近くに設置される場合が多いが、中にはリターン側のタンク内にある場合もある様だ。

 この樹脂製インペラを見て、最近当プログでも記した、デンソーのフューエルポンプリコール745万台を思い出す。同リコールは、樹脂製インペラの製法不良で、樹脂が膨潤してインペラとケーシングが接触して、ポンプの作動が不可能、つまり走行不能に陥るというものだ。燃料噴射が極一般化したのは排ガス53年度規制の頃だから、既に40年も経て、フューエルポンプなどは、特に大きな構造変更もなく枯れた技術なのだが、それでもこういうリコールが生まれるということに驚きを禁じ得ない。まあ、儲かってるデンソーにとっては、良い薬となるリコールなのだが、車両の製造社たるトヨタは第1義的に責任を生じるし、ユーザーの信頼を落とすことになる。トヨタの開発および品質管理部門では、仕様を定めサプライヤーから供給を受けているのだが、本元では検査できないというジレンマを生じる訳だが、こういう問題は3万点ともいわれる車両の構成部品の様々な部分で生じる可能性があるのだろう。






デンソーフューエルポンプリコール745万台
2021-02-19 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/f917abf005dbf3528043c9e609c5d19c

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。