保険料率算定機構の歴史から見る指数販売権の委譲不信
日本の損害保険には「損害保険料率算出機構」(旧名:損害保険料率算定会)という機関があり、これは損害保険料率算出団体に関する法律(昭和二十三年法律第百九十三号)という特別法により設立されたものだ。
ここでは、会員である保険会社から提供を受けた契約や、事故に関するデータに基づき、科学的・工学的手法や保険数理の理論を駆使して、火災保険・傷害保険・自動車保険などの参考純率や、自賠責保険・地震保険の基準料率[2]を算出・提供する。保険会社は、これらの料率を保険料率の算定の基礎として用いる。
かつて、現在、各損害保険会社に所属する調査員(アジャスター)の資格管理や試験の実施などは損保協会というところが行っているのだが、こういう各個別会社に調査員がいない時代(昭和40年~50頃)までは、自動車損害鑑定人という制度があり、これの管理をしていたのは保険料率算定会であった。
また、その頃、保険料率算定会は、自研センターで策定される指数について、その創設時の策定にも関与しつつ、指数の著作権、販売権までを持っていたと私見ながら解している。
この各保険会社が運営に出資しているとは云え、特別の法まで作られ運営している保険料率算定会の指数という資産は、いわば保険会社というより公的な扱いを受けるべきものだったと思える。つまり、(実際は必ずしもそうでないが)指数とは、社会的に見て、公平な学問的な公正という理念の元に作られ、一私企業のためのものではないという側面があったとも思っているのだ。
ところが、金融ビックバン以後、損害保険も料率自由化の中に至り、算定会も算定機構として、その業務内容が一部変更されたのだが、そんな中で指数について、その著作権とか販売権が以下の様に動かされているが、一私企業にいわば公的なものを委譲することとして妥当性は如何なものかという疑念を持つところだ。
指数について、現在著作権は自研センターが保持しているが、これは策定実施者でもあり、自研センターとは業界組織の研究所であり、利益を考えないいわば公的機関だから問題はないだろう。ところが指数の販売権は、何故かコグニビジョン(旧名アウダテックス)に移されたのだ。このコグニ社というのは、損保11社およびJA社などの資本参加による設立なのだが、あくまで利益を求める一私企業なのである。
この様な、公的資産を一私企業に移転させるという行為は、直ちに違法だとまでは思わないが、透明性に欠ける行いではないかという思いを持つところだ。
それと、現在の算定機構のWebを見て、昔と考え方が随分変わったなぁと改めて感じるところがある。それは、算定機構は、そもそも昔は妥当な保険料の算定を行い、各保険会社横並び(つまり同額の保険料)の時代が続いた。それが、金融の自由化などの一貫として、算定機構は、あくまで純率と呼ばれる基本の保険料を決め、付加率と呼ばれる各保険会社が独自に決める保険料を加算することで、ある程度保険料の上下を認めたということまでは知っていた。
しかし、同Webの記載を眺めると、保険料率(純率)の3つの原則というのが記してあって、「①合理的、②妥当、③不当に差別的でない」と記してある。これは、その昔は、3つは「①適正、②妥当、③公平」という概念だったと思い出す。さもない違いですが、含むところは大きいのかもしれない。
#料率算定機構 #指数の販売権を一私企業への移転に疑問
日本の損害保険には「損害保険料率算出機構」(旧名:損害保険料率算定会)という機関があり、これは損害保険料率算出団体に関する法律(昭和二十三年法律第百九十三号)という特別法により設立されたものだ。
ここでは、会員である保険会社から提供を受けた契約や、事故に関するデータに基づき、科学的・工学的手法や保険数理の理論を駆使して、火災保険・傷害保険・自動車保険などの参考純率や、自賠責保険・地震保険の基準料率[2]を算出・提供する。保険会社は、これらの料率を保険料率の算定の基礎として用いる。
かつて、現在、各損害保険会社に所属する調査員(アジャスター)の資格管理や試験の実施などは損保協会というところが行っているのだが、こういう各個別会社に調査員がいない時代(昭和40年~50頃)までは、自動車損害鑑定人という制度があり、これの管理をしていたのは保険料率算定会であった。
また、その頃、保険料率算定会は、自研センターで策定される指数について、その創設時の策定にも関与しつつ、指数の著作権、販売権までを持っていたと私見ながら解している。
この各保険会社が運営に出資しているとは云え、特別の法まで作られ運営している保険料率算定会の指数という資産は、いわば保険会社というより公的な扱いを受けるべきものだったと思える。つまり、(実際は必ずしもそうでないが)指数とは、社会的に見て、公平な学問的な公正という理念の元に作られ、一私企業のためのものではないという側面があったとも思っているのだ。
ところが、金融ビックバン以後、損害保険も料率自由化の中に至り、算定会も算定機構として、その業務内容が一部変更されたのだが、そんな中で指数について、その著作権とか販売権が以下の様に動かされているが、一私企業にいわば公的なものを委譲することとして妥当性は如何なものかという疑念を持つところだ。
指数について、現在著作権は自研センターが保持しているが、これは策定実施者でもあり、自研センターとは業界組織の研究所であり、利益を考えないいわば公的機関だから問題はないだろう。ところが指数の販売権は、何故かコグニビジョン(旧名アウダテックス)に移されたのだ。このコグニ社というのは、損保11社およびJA社などの資本参加による設立なのだが、あくまで利益を求める一私企業なのである。
この様な、公的資産を一私企業に移転させるという行為は、直ちに違法だとまでは思わないが、透明性に欠ける行いではないかという思いを持つところだ。
それと、現在の算定機構のWebを見て、昔と考え方が随分変わったなぁと改めて感じるところがある。それは、算定機構は、そもそも昔は妥当な保険料の算定を行い、各保険会社横並び(つまり同額の保険料)の時代が続いた。それが、金融の自由化などの一貫として、算定機構は、あくまで純率と呼ばれる基本の保険料を決め、付加率と呼ばれる各保険会社が独自に決める保険料を加算することで、ある程度保険料の上下を認めたということまでは知っていた。
しかし、同Webの記載を眺めると、保険料率(純率)の3つの原則というのが記してあって、「①合理的、②妥当、③不当に差別的でない」と記してある。これは、その昔は、3つは「①適正、②妥当、③公平」という概念だったと思い出す。さもない違いですが、含むところは大きいのかもしれない。
#料率算定機構 #指数の販売権を一私企業への移転に疑問