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イスズ中型トラックエンジンEGRクーラーリコール

2023-01-02 | 技術系情報
イスズ中型トラックエンジンEGRクーラーリコール
 先ほど、BMWディーゼルのEGRクーラーについてのリコール話しを記したが、これは昨年12月初めにイスズより報知されたリコール内容を紹介したい。
 問題は、BMWと同様の水冷EGRの不良リコールだが、こちらは冷却水に排気ガスが入り込むことにより、オーバーヒートを発生する恐れがあるというものだ。
 対象車両は2021年8月~2022年5月までと、新車納入してから1年程度と、極初期の不具合発生で不具合認知件数も74件と、完全に製造瑕疵が疑われるリコールとなろう。


 ちなみに、整備工場において、今でもヘッドガスケット抜けというトラブルは存在するのだろうが、そもそもガスケットが抜けるというのは、多くの場合オーバヒートさせて、ヘッドに生じる熱歪みによりボルト張力が低下することに起因する場合が多い。ただし、過去のトヨタの欠陥が疑われる2AZエンジンの場合は、アルミブロック側の雌ネジが崩れてしまい、一部のヘッドボルト張力が低下し、水漏れオイル漏れ排ガス漏れが生じると云う、あまり例のない問題もあった。

 何れにしても、冷却水中に燃焼ガスもしくは排ガスが入り込む事態は、その圧倒的な圧力差で、冷却水はオーバーフロー弁を開弁させてエンジン内から排除されてしまう。

 ところで、自動車整備士は一応自動車整備の専門家として、国家資格を与えられているのだが、必ずしも国家資格に限らず、ある種の専門家という職種の、知的劣化というべき事象は様々な局面で生じていることが伺えるところだ。このことは、例えば車両メーカーは発行している整備解説書の記述を見ても、正直そもそも人に伝えるという文章や内容になっていないという問題がある。あることを調べるのに、何度も見直し、何とか読解出来れば良い方で、そもそも必要情報として欠落していて、さっぱり判らないなんて云うことは多い。

 また、それを見る側の知的レベルも低いから、そもそもそんな欠点も感じられないのかもしれないが、何れにせよ現代社会では、専門家を名乗りながら、ぜんぜん専門家ではないレベルというのは、大学教授辺りでもありそうだ。

 例えば、今回取り上げているEGR装置は、排気ガス再循環装置で、吸入吸気に排気ガスを還流させることで、燃焼温度を下げ、主にNOxを浄化するのが主目的だと、ものの本には記してあるのだが、ディーゼルエンジンに採用されたEGRと、最近のガソリンエンジンに再採用される様になったEGRでは、そもそも目的が違うことをどれだけの者が理解しているのだろうか?

【過去記事】
クールドEGRの解釈
2022-05-19 | 技術系情報
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/3bc8949452ecdfbf7fa901ca4cabc6f4


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1 コメント

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Unknown (蚊取り線香)
2023-01-07 23:03:17
いつも勉強させていただいております。
ガソリンエンジンのEGRはポンピングロス低減による燃費改善が主目的ですね。
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